ごちうさSS チノ「ここあさんのお弁当サプライズ」 後編

 

⇒『前編

 

――AM11:46 リゼの部屋――

 

 

ここあ「………………」

 

ここあ「…………」チラッ

 

ここあ「………………」ソワソワ

 

ここあ「…………」チラッチラッ

 

ここあ「………………」

 

――ガチャッ

 

ここあ「!」

 

使用人「失礼します」

 

ここあ「おべんとうもっていくじかん!?」

 

使用人「いえ、まだ少し早いですね」

 

ここあ「そっか……」

 

使用人「ゆっくり待ちましょう、さきに昼食を食べませんか?」

 

ここあ「うんっ」

 

使用人「今日はデザートも付いていますよ」

 

ここあ「やったぁ♪」

 

使用人「行きましょうか」

 

ここあ「………」スッ

 

使用人「?」

 

ここあ「だっこ、だめ?」

 

使用人「フッ……承知しました」

 

使用人「よっ」ヒョイ

 

ここあ「ぁ……ぇへへ//」ニヘラ

 

使用人「しっかり掴まっていてください」

 

ここあ「ありがとうゆうしゃさん」ギュッ

 

使用人「…………//

 

 

――

――――

――――――

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――PM12:30 中学校――

 

 

チノ「ふぁぁ……」プワプワ

 

マヤ「チノ~朝からあくびばっかしてない?」

 

メグ「寝不足?夜更かししたの?」

 

チノ「逆に早く起きすぎてしまって……」

 

マヤ「二度寝すればいいのに~わたしなんて朝は目が覚めてもまたすぐ寝られるよ」

 

メグ「マヤちゃんのはそもそも起きてないんじゃないかな」

 

チノ「でも、今朝は早起きして良かったです」

 

マヤ「おぉ、チノのお弁当今日はなんかファンシーだ!」

 

メグ「もしかしてチノちゃんの手作り?」

 

チノ「いえ、実はここあさんのお手製で」

 

マヤ「ここあが!?愛妻弁当じゃん!」

 

メグ「こんなに上手に料理が……――あっ、もしかしてチノちゃん」

 

マヤ「早起きして二人で作ったんだ~」

 

チノ「はい、色々あってのついででしたが」

 

マヤ「この前のチョコみたいな感じ?ということは本命が他にも!?」

 

メグ「ここあちゃんにお願いされたんだね、チノちゃん優しいよ」

 

チノ「わたしを頼りにしてくれるなら、できる限り力になってあげたくて」

 

チノ「以前のココアさんが、わたしにしてくださっていたように」

 

マヤ「チノ……」

 

チノ「マヤさんもメグさんも、良かったらまた一緒に遊んであげてください。ここあさん喜びますから」

 

メグ「うん♪」

 

マヤ「当たり前じゃん!またサバゲーとかカルタとかやろうよ」

 

チノ「ありがとうございます」ニコッ

 

メグ「…………」

 

チノ「……?メグさん?」

 

メグ「チノちゃん、なんだか前より大人っぽくなったね」

 

チノ「そう…ですか?」

 

マヤ「確かに~姉御オーラが出てきたかも」

 

チノ「姉御オーラ!?」

 

メグ「頼れるお姉ちゃんって感じがするよ、羨ましいなぁ」

 

マヤ「やっぱりここあが小さくなったからじゃね?」

 

メグ「すっかりチノお姉ちゃんだね」

 

チノ「お姉ちゃん……」

 

チノ「…………//

 

チノ「」マドノソト チラッ

 

チノ「……――!」

 

チノ「……♪」クスッ

 

マヤ「チノ?」

 

メグ「あれは……ここあちゃんとリゼさん家の使用人さん?」

 

チノ「ここあさん……がんばって」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

使用人「着きました、ここです」

 

ここあ「ここが、りぜちゃんのがっこう……!」

 

使用人「あっしは中には入れませんので……ひとりで持っていけますか?」

 

ここあ「うん!わたしにまかせなさーい!」

 

使用人「あっしは向こうの木の下で待っています、終わったら来てください」

 

使用人「では、御武運を」グッ

 

ここあ「いえっさー!」

 

ここあ「♪」タタタ

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

ここあ(りぜちゃん……おそとかな?)

 

ここあ(ぱんをかうっていってたから、こっちかな)タタタ

 

生徒「あっ、リゼ先輩だ」

 

生徒「かっこいい……//

 

ここあ「!」

 

ここあ「りぜちゃん――……!」

 

ここあ(いた!――え……)

 

ここあ(……あれ)

 

 

―――――――――――――――――――

 

――校庭 ベンチ――

 

 

吹き矢部部長(ユラ先輩)「リゼ、なにそれ?」

 

リゼ「んっ、MREだ」ガサッ

 

ユラ「ミールレディトゥイート?」

 

リゼ「ああ、ミートボールとチーズスプレッド、あとドリア風の味付けご飯を持ってきた」

 

ユラ「相変わらず好きだよねぇ、レーション」

 

リゼ「おいしいからな」

 

ユラ「昔はマズかったらしいよ、今は冷凍食品とほとんど変わらないけど」

 

リゼ「久々に食べないか?ドライケーキだ」

 

ユラ「くれるの?ありがとう」

 

リゼ「フルーツミックスのやつもあるぞ、こっちの方が好きなんだっけ?」

 

ユラ「ん~どっちも好きだよ」モグモグ

 

リゼ「たくさん持ってきたから遠慮なく食べてくれ」

 

ユラ「……リゼさぁ」

 

ユラ「なんだか最近、すごく楽しそうだよね」

 

リゼ「そうか?」

 

ユラ「2年になってからも1年の時に比べたらずっと楽しそうだったけど、最近はもう以前にも増してって感じ」

 

リゼ「……そうだな」

 

リゼ「自分でも、たぶん今が一番幸せなんだって思う」

 

リゼ「幸せすぎて……いつか無くなってしまうんじゃないかって、時々怖くなるくらい」

 

リゼ「毎日が満たされていて……永遠にこのまま、ずっと続いてほしい」

 

ユラ「………………」

 

リゼ「永遠なんて望むのは、本来なら馬鹿げてるんだけどな」

 

ユラ「……そうだね」

 

ユラ「でも、幸せじゃなかったら望まないよね」

 

リゼ「…………」

 

ユラ「学校終わったらまっすぐ帰って、暇があれば無意識にロック画面を開いてホーム画像を見つめてるし」ヒョイ

 

リゼ「あっ」

 

ユラ「その小さい女の子って……」

 

リゼ「違うぞっ!この子は、だな。わたしの大切な家族で……その……//

 

ユラ「親戚かなにか?」

 

リゼ「そんなところだ。訳あってウチに住んでるんだ」

 

ユラ「ふぅん、その子がリゼの幸せの根源ってわけだ」

 

リゼ「……まぁ//

 

ユラ「へぇ……幼馴染だけど知らなかった」

 

リゼ「うっ、すまない、黙っていて。別に秘密にしてたわけじゃないんだけど」

 

ユラ「ううん、別にいいよ」

 

ユラ「そっか……」

 

 

ユラ「――リゼって、ロ〇コンだったんだね」

 

 

リゼ「ブッ!おい!!?」

 

ユラ「ふふっ」クスッ

 

 

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

 

ここあ(………………)

 

ここあ(…………)

 

ここあ(……)

 

ここあ「…………」スッ

 

ここあ(どうしよう……せっかくちのちゃんとつくったのに……)

 

ここあ「………………」

 

ここあ(りぜちゃん、たのしそう……)

 

ここあ「………………」

 

ここあ「…………」

 

ここあ「……」ウツムキ

 

 

ここあ「…………」トボトボ

 

ここあ「………………」

 

 

チノ『リゼさんが驚くような、素敵なお弁当を作りましょう』

 

 

ここあ「……ちのちゃん」

 

ここあ「…………」

 

??「――ここあ?」

 

ここあ「?」

 

シャロ「やっぱり……!」

 

ここあ「しゃろちゃん……」

 

シャロ「どうしてここに?まさか一人で?」

 

ここあ「……あのね」

 

シャロ「………?」

 

ここあ「………………」

 

シャロ「…………」

 

――スッ

 

シャロ「なにか、理由があるのね」ナデナデ

 

ここあ「…………」

 

シャロ「リゼ先輩に内緒で、こっそり来ちゃった?」

 

ここあ「…………」コクリ

 

シャロ「そう……」

 

ここあ「これ……とどけにきたの」スッ

 

シャロ「おべんとう……?ここあが作ったの?」

 

ここあ「うん。でもね、りぜちゃん、もうおひるたべてたから……」

 

ここあ「だから、しゃろちゃん……かわりにたべて?」

 

シャロ「そんな……リゼ先輩のために作ったお弁当でしょ、いまからでも届けに――」

 

ここあ「だめっ!」

 

シャロ「!」

 

ここあ「りぜちゃん……おなかいっぱいでもむりしちゃうから、だめ」

 

ここあ「たべきれなかったら、じぶんのことをせめちゃうから……」

 

ここあ「りぜちゃんがかなしむの、やだ……」グスッ

 

シャロ「ここあ……」

 

ここあ「しゃろちゃん、ないしょにしてて……?おねがい……」ギュッ

 

シャロ「……」

 

シャロ「……わかった」

 

シャロ「リゼ先輩には言わない……このお弁当、貰っておくわね」

 

シャロ「ありがとうここあ、お腹すいてたから助かったわ」ナデナデ

 

シャロ「放課後リゼ先輩はラビットハウスでしょうし、バイトが終わったら返しに行くわね」

 

ここあ「うん……」ニコッ

 

ここあ「しゃろちゃん、ありがとう。そのおべんとうね、ちのちゃんといっしょにつくったからすごくおいしいよ」

 

シャロ(チノちゃんが手伝ってくれたのね。わざわざ二人で、早起きして……)

 

ここあ「そとでゆうしゃさんがまってるの、またね、しゃろちゃん」

 

シャロ「ええ、気を付けて帰るのよ」

 

ここあ「♪」フリフリ

 

 

シャロ「………………」

 

シャロ「…………」ピッ

 

――Prrrrrrrrrrrr

 

シャロ「あっ……もしもし、千夜。いま大丈夫?」

 

シャロ「うん……あのね――」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

使用人「本当にお嬢に言わなくて、よろしいんですか?」

 

ここあ「うん。りぜちゃん、おともだちとたのしくたべてたから」

 

使用人「……すいません、もう少し早めに出発していれば」

 

ここあ「ううん、ゆうしゃさんのせいじゃないよ」

 

ここあ「しゃろちゃんがうけとってくれたから、だいじょうぶ」ニコッ

 

使用人「…………」

 

ここあ「ちのちゃんに、あやまらなきゃ」

 

使用人「…………」チラッ

 

ここあ「…………」

 

使用人(やはり…悲しそうだ……)

 

使用人(しかし、お嬢に言ってしまうとこの子の優しさを裏切ることになる……)

 

使用人(……どうすれば)

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

――

――――

――――――

 

 

――PM6:00 甘兎庵前――

 

千夜「…………」サッサッ

 

千夜「あっ――シャロちゃん、おかえりなさい」

 

シャロ「んっ……ただいま」

 

千夜「お疲れ様。お弁当箱は?」

 

シャロ「お昼に洗っておいたわ」

 

シャロ「千夜が食べたほうがいいって言うから食べたけど……」

 

千夜「腐らせてダメにしちゃうと、それこそここあちゃんに顔向けできないもの」

 

千夜「どう、おいしかった?」

 

シャロ「当たり前じゃない。卵焼きもハート形になっててチーズが入ってたり、ウインナーがタコの形になってたり……」

 

千夜「ふふっ、きっとリゼちゃんのために一生懸命作ったのね」

 

シャロ「材料は?何も買っていかなくていいの?」

 

千夜「ええ、チノちゃんに聞いたら冷蔵庫が溢れるくらい余ってるそうよ」

 

千夜「それじゃあ、シャロちゃんは先に行ってて」

 

シャロ「んっ……少しの間なら引き留めておくから、頼んだわよ」

 

千夜「ええ、なるべく急ぐわ」タタタ

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――客室――

 

使用人「………………」

 

ここあ「すぅ……すぅ……」Zzz

 

使用人(結局、気晴らしに遊んであげることしかできなかった……)ナデナデ

 

使用人(かける言葉のひとつも思いつかないで……本当に情けない)

 

ここあ「んぅ…………」Zzz

 

使用人「あと少しで、お嬢が帰ってきますよ」

 

使用人(晩御飯はなににしよう……なにかこの子の好きなものでも――)

 

 

――トントン

 

 

使用人「はい?」

 

??「怪盗ラパン、参上!」バンッ!

 

使用人「っ!?」ジャキ

 

??「きゃっ!」

 

使用人「何者だ?」

 

??「使用人さん、こんばんは」スッ

 

千夜「わたしです」ニコッ

 

使用人「!」

 

使用人「お嬢のお友達の……失礼いたしました」スッ

 

千夜「ここあちゃんを寝かしつけていたんですか?」

 

使用人「いえ、遊んでいたら寝てしまわれて……お嬢が帰ってこられたら起こそうかと」

 

千夜「でしたら、少しお手伝いしていただけますか?」

 

使用人「はっ!あっしにできることでしたら……」

 

千夜「ありがとうございます♪」テ ギュッ

 

使用人「ぁ……//

 

千夜「ここあちゃんのことなんですが――」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

――IN 車内――

 

 

ここあ「……ん?」

 

ここあ「ふぁぁ……」プワプワ

 

千夜「ここあちゃん、おはよう」

 

ここあ「ふぉぇ……?」

 

ここあ「ちやちゃん……?」

 

千夜「お顔拭きましょうか、じっとしててね」スッ

 

ここあ「んっ……」

 

千夜「ごめんなさいね、急に。もう少しで着くから」

 

ここあ「ここ、くるまのなか?」

 

千夜「ええ、ラビットハウスに向かってるの」

 

ここあ「ちのちゃんのところ?」

 

使用人「ちいせぇお嬢、目が覚めましたか」

 

ここあ「ゆうしゃさん?」

 

使用人「あと2分で着きます、今のうちにこれを」スッ

 

ここあ「これ……えぷろん?」

 

千夜(メイド服……)

 

千夜「使用人さん、バックミラーを覗いたりしちゃダメですよ」

 

使用人「心配無用です、あっしはロ〇コンでもペ〇でもありませんので」

 

千夜「さすがは紳士ですね。それじゃあここあちゃん、一緒に着替えましょうか」シュル

 

ここあ「ちやちゃんも?」

 

使用人「っ!?お、お待ちなすって!それはさすがに……!//

 

千夜「クスッ、冗談ですよ、驚きました?」ニコッ

 

使用人「えっ……あ……//

 

使用人「っ……//」ポリポリ

 

千夜「すいません。ここあちゃん、バンザイして」

 

ここあ「うんっ」

 

千夜「良い子ね」パサッ

 

 

 

千夜「わざわざありがとうございました」

 

使用人「いえ、帰りもご一報いただければ……」

 

千夜「大丈夫ですよ、みんなと一緒ですから」

 

千夜「用が済みましたら責任を持って送り届けますので」

 

千夜「ここあちゃん、行きましょうか」

 

ここあ「ちやちゃん……?」

 

千夜「?」

 

ここあ「もしかして、わたしがちのちゃんにわるいことしたの……しってる?」

 

千夜「悪いこと?」

 

ここあ「おべんとうのこと……」

 

千夜「……そうね」

 

千夜「お弁当のことは聞いたけど、悪いことなんて一言も聞いてないわ」

 

ここあ「えっ」

 

千夜「リゼちゃんがここあちゃんシックになる前に急ぎましょう」

 

ここあ「あっ……」

 

 

ガチャッ――

 

 

千夜「お邪魔します」

 

シャロ「千夜、早かったわね」

 

千夜「使用人さんがわざわざ送ってくれたの」

 

チノ「千夜さん、こんばんは。ありがとうございます」

 

ここあ「ちのちゃん……」

 

チノ「ここあさん、早朝ぶりですね」

 

ここあ「……ごめんなさい」

 

チノ「…………」

 

ここあ「ちのちゃんとつくったおべんとう……りぜちゃんに、とどけられなかったの……」

 

ここあ「ちのちゃん……ごめんね……」

 

チノ「………………」

 

ここあ「…………」グスッ

 

チノ「ここあさん……間違っていますよ」

 

 

チノ「届けられなかったんじゃなくて――まだ届けていないだけです」

 

 

ここあ「えっ……?」

 

チノ「どうしてここあさんにここに来てもらったか、分かりますか?」

 

チノ「わたしたちが集まっているのは、ここあさんと一緒に、もう一度お弁当を作るためです」

 

ここあ「!」

 

千夜「今頃使用人さんやメイドさんが、リゼちゃんのことを引き留めてくれてるわ」

 

シャロ「ここあ、あんまり時間が無いから急ぎましょう」

 

ここあ「……!」

 

チノ「ここあさん……リゼさんのために、もう一度作りましょう」スッ

 

千夜シャロ「………………」

 

チノ「…………」

 

ここあ「………………」

 

ここあ「……」ギュッ

 

ここあ「うん……ちやちゃん、しゃろちゃん……ちのちゃん」

 

 

ここあ「――おねがいしますっ」グッ

 

 

チノ「……!」

 

千夜シャロ「」クスッ

 

チノ「はい」

 

 

チノ「お姉ちゃんに、任せてください」

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

――――――

――――

――

 

 

シャロ「ここあ、忘れ物ない?」

 

ここあ「うん!」

 

チノ「リゼさんのところへ帰りましょう、みんなで一緒に届ければ安全です」

 

千夜「きっと今頃お腹を空かして、ここあちゃんの帰りを待っていると思うわ」

 

シャロ(思い切り荒れ狂ってそうと思うのはわたしだけ……?)

 

ここあ「りぜちゃん……まっててね。こんどこそ、このおべんとう――」

 

ガンガン!!

 

全「!」

 

チノ「……?」

 

リゼ「わたしだ!ここあぁ!!」ガンガン

 

シャロ「リゼ先輩!?」

 

千夜「さすがに限界だったみたいね、リゼちゃん」

 

チノ「待ってください、いま開けますから」

 

 

ガチャッ――バタン!

 

 

リゼ「ここあっ!」ギュッ

 

ここあ「きゃっ……」

 

リゼ「どこにいってたんだ!寂しかったぞぉ!」スリスリ

 

リゼ「朝起きてもいないし、家に帰ってもまだいないし……!」

 

リゼ「やっと会えたな……!ここあぁ!」ギュッ

 

ここあ「うにゅ……りぜちゃん、くるしい…」

 

シャロ「リゼ先輩、落ち着いてください」

 

千夜「ここあちゃんが痛がってるわ、りぜちゃん、どうどう」

 

リゼ「ふぅ……やっと落ち着いた」

 

リゼ「んっ、良く見たら千夜とシャロもいたのか。みんな集まってどうしたんだ?」

 

チノ「……ここあさん」

 

ここあ「……」スッ

 

リゼ「?」

 

ここあ「りぜちゃん。ばんごはん、まだたべてない?」

 

リゼ「ああ。それは……」

 

ここあ「これ……りぜちゃんにつくったの、おべんとう」

 

リゼ「!」

 

ここあ「たまごやきと、ういんなーと、しょうがやきと」

 

リゼ「ここあが……?」

 

ここあ「みんなにてつだってもらったけど、でも、がんばったよ」

 

ここあ「りぜちゃん、たべて?」

 

リゼ「もらって、いいのか?」

 

ここあ「りぜちゃんのためにつくったから」

 

リゼ「……!」

 

リゼ「……」カパッ

 

リゼ「綺麗な色合いだ……おかずもバランスよく入ってる」

 

リゼ「……いただきます」

 

リゼ「んっ……」モグモグ

 

千夜シャロ「………………」

 

チノ「…………」

 

ここあ「どう……?」

 

 

リゼ「……おいしい」

 

 

リゼ「食べてきた料理の中で、一番おいしいぞ……」

 

 

ここあ「……!」

 

千夜シャロ「」グッ

 

リゼ「いつのまにか料理もできるようになってたんだな……わたしが思っていたよりも、ずっとずっと成長してる」

 

リゼ「ここあ……ありがとう」ニコッ

 

ここあ「うんっ!//

 

チノ「良かったですね、ここあさん」クスッ

 

ここあ「ちのちゃん!」ギュッ

 

チノ「!」

 

ここあ「えへへ……ちゃんととどけられたよ//」ニヘラ

 

ここあ「ちやちゃん、しゃろちゃん、ちのちゃん……みんなのおかげ……//

 

ここあ「ちのちゃん……ありがとう//」ニヘラ

 

チノ「いいんですよ」ニコッ

 

チノ「わたしとここあさんは――姉妹なんですから」ギュッ

 

ここあ「ふふっ……//

 

リゼ「ありがとうみんな……迷惑かけたな」

 

千夜「迷惑なんて全然」

 

シャロ「ここあが良い子だから、してあげたいから、してるだけです」

 

リゼ「……そうか」クスッ

 

ここあ「りぜちゃん、もっとたべて!」

 

リゼ「全部食べていいのか?」

 

ここあ「うん!わたしがたべさせてあげる!」

 

リゼ「っ!?//

 

ここあ「はいりぜちゃん、あーん♪」

 

リゼ「こ、ここあ、みんながいるから……その……//

 

ここあ「ふぉぇ?どうして?ふたりのときはいつもたべさせあいっこしてるのに」

 

シャロ「」

 

チノ「…………」

 

千夜「リゼちゃん……」

 

リゼ「ち、違うぞ!誤解だっ!時々冗談でやりあってるだけだ!信じろっ!//

 

シャロ「説得力が無いです先輩……」シラー

 

チノ「同感です……」

 

千夜「リゼちゃん、とってもほほえま~だけど、親バカもほどほどにしましょうね」ニコニコ

 

リゼ「くっ……うぅ……//」プシュ~

 

 

ここあ「りぜちゃん」

 

リゼ「!」

 

ここあ「あーんして?」

 

リゼ「ここあ……」

 

ここあ「」ニコッ

 

リゼ「!……ふへへ……//」ニヘラ

 

リゼ「あーん//

 

ここあ「どう?おいしい?」

 

リゼ「ああ、おいしいぞぉここあ!」ギュッ

 

ここあ「わわっ……おべんとうこぼれちゃう」

 

リゼ「可愛いから仕方ないんだ!」スリスリ

 

ここあ「うにゅぅ……//

 

千夜「リゼちゃん、続きはおうちに帰ってからしましょうね」

 

シャロ「お昼のお弁当の件、一応リゼ先輩に言ったほうがいいかしら?」ヒソッ

 

チノ「伝えるとしても明日ですね……」チラッ

 

 

リゼ「千夜、離せ!今日一日会えなかった分ここあをモフモフするんだ!」ジタバタ

 

千夜「リゼちゃんが満足するまで待ってたら夜が明けるわ、就寝まで我慢しましょうね」

 

ここあ「りぜちゃん。たまごやきだよ~あーん」スッ

 

リゼ「」ピタッ

 

リゼ「あーん//」ニヘラ

 

 

○お弁当サプライズ――『成功』

 

 

――――――

――――

――

 

 

――深夜 12時 天々座家 客室――

 

 

リゼ「そうか……お昼休みに」

 

使用人「申し訳ないです……事前にお嬢に裏でお伝えしていれば」

 

リゼ「ここあのサプライズしたいって気持ちを汲んでくれたんだろう?お前のせいじゃない、わたしのミスだ」

 

リゼ「教えてくれてありがとう、感謝するぞ」ガタッ

 

リゼ「今日一日、ご苦労だったな。ゆっくり休んでくれ」

 

使用人「あの、お嬢。どうかこのことはあの子には秘密に……」

 

リゼ「分かってるよ。ここあのこと、裏切りたくないもんな」

 

使用人「すいません……」ペコリ

 

リゼ「こっちこそ、いつもすまないな、わたしもここあも、迷惑かけっぱなしだ」

 

使用人「いえそんな……お気になさらず」

 

使用人「してあげたいから、するだけです」

 

リゼ「……」クスッ

 

使用人「どうかされました?」

 

リゼ「いや、何でもない」

 

リゼ「……きっとみんな、そうなんだよな」ボソッ

 

使用人「えっ?」

 

リゼ「わたしはつくづく幸せ者だ」

 

使用人「お嬢?」

 

リゼ「何でもない、おやすみ」

 

使用人「はぁ……おやすみなさいませ」

 

リゼ「あっ、そうだ」

 

使用人「?」

 

リゼ「聞いたぞ、千夜をわざわざラビットハウスまで車で送ってあげたらしいな」

 

使用人「ええ、小さいお嬢が寝てらしたので」

 

リゼ「…………」ジー

 

使用人「それがなにか?」

 

リゼ「前から……千夜には妙に優しくないか?」

 

使用人「え……あっ、いや、そんなことは……」

 

リゼ「ラビットハウスまで歩いて15分程度だぞ」

 

使用人「急いでいらしたので……それに、あの子では小さいお嬢をおんぶして歩くのはさすがに辛いかと思いまして」

 

リゼ「個人的な感情は無いだろうな?」

 

使用人「冗談言わないでください……」

 

リゼ「……しょうがない、信じてやるか」

 

使用人「信じるも何も」

 

リゼ「これ、千夜からお前に渡してくれと預かった」スッ

 

使用人「羊羹、ですか?」

 

リゼ「今夜のお礼だそうだ」

 

使用人「ご丁寧に……律儀なお方ですね」

 

使用人「…………」クスッ

 

リゼ「やっぱりここあよりも千夜か!?」

 

使用人「ですからそういうのじゃ……ほら、明日も学校ですし早くお休みください」

 

リゼ「明日の晩御飯はわたしとここあが作るから、メイドにも言っておいてくれ」

 

使用人「承知しました。おやすみなさい」

 

――バタン

 

使用人「ふぅ……」ストン

 

使用人「…………」

 

使用人(羊羹……か)スッ

 

使用人「心遣い、感謝します……」フッ

 

 

――おしまい♪

感想

  1. 匿名 より:

    「」ピタッ

    「あーん//」ニヘラ

    が脳内再生余裕ですねぇ…

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      わたしがニヤけながら描いていたこの描写の可愛さにお気づきくださるとは……あなたは我が相棒!?(間違いでしたら聞き流し下さい)
      いつも細かいところまで見てくださるので本当にうれしいです。色んな方面から感想を頂きますが、ここに残してくださるとわたしの永遠の誇りになりますから最高です。
      影からご支援くださる相棒に、いま一度感謝!親バカリゼちゃんとここあちゃん、みんなのことを今後もよろしくお願いします。m(__)m

      • 匿名 より:

        ま、毎回見破られると職業的に複雑な気持ちですね………←

        前回もですけどどうして分かったんですか!?

        • 砂水クジラ砂水クジラ より:

          探偵なのに……翔太郎!
          いえ、ただ相棒の良いと言ってくださる箇所が毎回わたしが最高だと思って描いた描写ですのでつい。
          あとはポートと文章の癖から読み取る職業病の直感!←間違えてたら詰み。

          ごめんなさい、気持ち悪いなら今後は辞めますね;
          ちゃんとお礼が言いたかっただけなのです。

          • 匿名 より:

            気持ちわるいなんて思いませんよっっ!
            管理人?側だとID的なのが見えるのかなーと思ってたんですが文章で判断されてたんですね
            自分が分かって貰えてる感じかして嬉しいです

          • 砂水クジラ砂水クジラ より:

            翔太郎……!
            また遊びに来てくださいね、あなたの整った文面なら80%の確率で当てて、必ずや感謝の返信を綴りますから!

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