ごちうさSS リゼ「千夜とパジャマパーティー」

 

――金曜日 PM8時――

 

リゼ「………………」

 

リゼ「…………」チラッ

 

リゼ「………………」

 

リゼ「…………」チラッ

 

リゼ「…………」ソワソワ

 

 

――トントン

 

 

リゼ「!」

 

千夜「リゼちゃん、入ってもいいかしら?」

 

リゼ「ああ、開いてるぞ」

 

千夜「お邪魔します」ガチャッ

 

千夜「こんばんはリゼちゃん、遅くなってごめんなさい」

 

リゼ「よく来たな、待ってたぞ」

 

千夜「あら、もう寝間着?」

 

リゼ「お風呂はさっき済ませた、待たせるのも悪いしな」

 

千夜「気を遣ってくれなくていいのに」

 

リゼ「わたしが早く遊びたいだけだ。ほら、ここ座れよ」

 

千夜「リゼちゃんの隣、特等席ね」スッ

 

リゼ「ベッドに座ってくれてもいいぞ、自由にくつろいでくれ」

 

千夜「ううん、ここでいいわ」

 

千夜「……こうして、リゼちゃんにもたれかかれるし」ポスッ

 

リゼ「おっと……」

 

千夜「ふぅ……癒されるわ……」

 

リゼ「…………」

 

リゼ「お風呂入って、すぐに来てくれたのか?」

 

千夜「ん、どうして?」

 

リゼ「千夜の髪から良い香りがする」

 

千夜「……あれ~」ゴロン

 

リゼ「!」

 

千夜「リゼちゃんが変なこと言うから、すべってつい膝枕の体勢になっちゃったわ」

 

リゼ「ずいぶん都合の良い偶然だな」ムニー

 

千夜「ふぇひへ~」

 

リゼ「柔らかいほっぺだ」プニプニ

 

千夜「ふぇへ……♪」ニコッ

 

リゼ(可愛い……)

 

 

 

千夜「二人きりでのお泊り会、楽しいわ」

 

リゼ「まだ何もしてないぞ?」

 

千夜「こうしてリゼちゃんに膝枕してもらえるだけで幸せ」

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

千夜「んっ……♪」

 

千夜「二人の時は、普段以上に甘いわね。リゼちゃんて」

 

リゼ「そうか?」

 

千夜「ココアちゃんやチノちゃん、シャロちゃんにも二人きりだとこんな感じなの?」

 

リゼ「……どうだろう」

 

千夜「みんな本当は甘えんぼうだったりして」クスッ

 

リゼ「少なくとも千夜ほどじゃないと思うぞ」ナデナデ

 

千夜「……リゼちゃん、優しいから」

 

リゼ「普段千夜に頼ってばかりだから、せめて二人きりの時くらいはな」

 

千夜「なら、甘いのはわたしにだけ?」

 

リゼ「そうかもな」

 

千夜「……」クスッ

 

千夜「嘘が下手ね」

 

リゼ「…………」

 

千夜「でも嬉しい、ありがとう」

 

リゼ「……千夜は、扱いにくい」

 

千夜「ごめんなさい」ニコッ

 

 

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

千夜「8時半……もう30分も経ったのね」

 

リゼ「どうする?なにかゲームでもするか?」

 

千夜「そうね……わたしはずっとこのままでもいいけど」

 

リゼ「千夜がいいなら続けるぞ」

 

千夜「ううん、楽しみはまた明日の夜にとっておきましょう」スッ

 

リゼ「もういいのか?」

 

千夜「ええ。……リゼちゃんの足も、そろそろ限界みたいだし」ツンッ

 

リゼ「うぁっ!?くっ……!」ビリビリ

 

千夜「こんなになるまで……ごめんなさいね」

 

リゼ「き、気にするな、これくらい……うっ……」ビリビリ

 

千夜「足を体育座りにして、こうしたら早く治るわ」

 

リゼ「すまない、正座は慣れているつもりだったんだが」

 

千夜「相変わらずね……リゼちゃんは」サスサス

 

千夜「わたしがこのままがいいって言ったら、まだ我慢するつもりだったんでしょ」

 

千夜「辛いのに黙って無理して……」

 

リゼ「……ごめん」

 

千夜「相手が幸せそうだったら、自分のことより優先しちゃうのよね」

 

リゼ「…………」

 

千夜「でも辛い時は、ちゃんと辛いって言いましょう?また足を挫いた時みたいになったら大変でしょ」

 

リゼ「あれはわたしの自業自得だけど……そうだな、千夜の言う通りだ」

 

リゼ「すまない、これからはちゃんと言うよ」

 

千夜「お願いね。なかなか気付いてあげられないから……リゼちゃん、嘘は下手なのに誤魔化すのは上手だから」

 

リゼ「褒められてるのか?」

 

千夜「ううん、逆よ」

 

リゼ「ずいぶん優しいお説教だな」

 

千夜「…………」サスサス

 

リゼ「おかげでだいぶマシになってきたよ。もういいぞ、ありがとう千夜」

 

千夜「……もう少しだけ」

 

リゼ「?」

 

千夜「リゼちゃんは誤魔化すから信用できないわ」プクー

 

リゼ「もうしないって」クスッ

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

千夜「あれは――赤アリの大群ね」tvゲーム

 

リゼ「千夜、レンジャーだと辛いぞ。ここはわたしに任せろ」

 

リゼ「よっ!……よっと!」ドガッ!

 

千夜「わぁ……さすがはリゼちゃん、戦場の死神ね」

 

リゼ「ふふん」ドヤッ

 

千夜「あっ、次はハチの群れみたい」

 

リゼ「問題ない、対空迎撃兵器もある」

 

リゼ「はっ!」ドシュッ!

 

千夜「回復薬がたくさん落ちてるわ」

 

リゼ「千夜は回収にまわってくれてていいぞ」

 

千夜「うーん、やっぱりフェンサーにした方が良かったかしら?それともリゼちゃんとお揃いにしたほうが?」

 

リゼ「千夜はエアレイダーがいいんじゃないか?」

 

千夜「えあれいだー?」

 

 

 

千夜「こちらストームチーム!爆撃を要請する!」

 

ドガッドガッバゴォン!!

 

リゼ「………………」

 

千夜「攻撃の手を休めるな!次、機銃掃射!」

 

ガロロロロロッ!!

 

リゼ「………………」

 

千夜「ふふっ、あっという間に焼け野原ね」ニコッ

 

リゼ「………………」

 

千夜「あっ、リゼちゃん、敵の増援よ」

 

リゼ「あ、ああ、エイリアンだなあれは」

 

千夜「装甲車を求む!発煙筒!」

 

リゼ「………………」

 

千夜「リゼちゃんに、パワーアシストガン発射!」

 

 

リゼ「……あっ、しまった」ライフ0

 

千夜「救護装甲車です、道を開けなさい」ブロロロ

 

リゼ「」

 

千夜「リゼちゃん、助けに来たわ!」

 

リゼ「千夜、お前絶対やったことあるだろ!!?」

 

千夜「ふぇ?」キョトン

 

 

 

リゼ「今夜だけで一気に20ステージも進めた、千夜のおかげだな」

 

千夜「どうやらエアレイダーがわたしにぴったりだったみたい」

 

リゼ「本気で地獄絵図だったよ、建物はおろかわたしまで空襲に巻き込むし」

 

千夜「ごめんなさい、範囲が広いからつい」テヘッ

 

リゼ「あまりゲームしたことないのに、無理やり付き合わせて悪かったな」

 

千夜「ううん、すごく面白かったわ。ゲームってこんなに楽しいものなのね、わたしも買おうかしら」

 

リゼ「ははっ、そんなにハマってくれたのか」

 

千夜「あっ、でも、リゼちゃんと二人でするから楽しいのかも」

 

リゼ「……そうだな、わたしも、一人でやってる時よりずっと楽しかったよ」

 

千夜「また、一緒にやらせてもらっていい?」

 

リゼ「ああ、もちろんだ。明日も一緒にやろうな、今度新しいやつも買っておくよ」

 

千夜「ありがとう♪」ニコッ

 

リゼ「11時……そろそろ寝るか?」

 

千夜「リゼちゃん、もう眠たい?」

 

リゼ「いや、わたしはまだ大丈夫だけど」

 

千夜「なら、寝る前にこれやりましょう」

 

リゼ「……将棋?」

 

千夜「チェスは苦手だけど、こっちは割と得意なの」

 

千夜「リゼちゃんは将棋分かるかしら?」

 

リゼ「まぁ、人並みくらいには。対局はほとんどしたことないけど」

 

千夜「一局さしましょう、勝ったほうがひとつだけお願い事をきいてもらうっていうのはどう?」

 

リゼ「勝つ気満々だな……いいぞ、面白そうだしのってやる」

 

千夜「さすがはリゼちゃん、そうこなくちゃね」

 

リゼ「負けて後悔するなよ」

 

千夜「望むところ」フンス

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

リゼ「…………」

 

千夜「…………」

 

リゼ「おっ、攻めてきたか」

 

千夜「……」パチッ

 

リゼ「この歩は頂きだ」スッ

 

千夜「次は香車」

 

リゼ「こっちも香車だ」

 

千夜「飛車!」

 

リゼ「おっ、ついに動いたな。なら今取った香車をここに」

 

千夜「……」ススッ

 

リゼ「逃げるのかよ!」

 

 

 

リゼ(なんだこの意味の分からない局面は……)

 

リゼ「……」スッ

 

千夜「リゼちゃん隙アリ!王手!」パシッ

 

リゼ「なっ!?」

 

リゼ「いつのまに……とりあえず下がるか」

 

千夜「香車!」

 

リゼ「うおっ!」

 

千夜「桂馬!」

 

リゼ「くっ……!」

 

千夜「トドメよ、銀!」

 

リゼ「……!」

 

リゼ「もう逃げるところがない……」

 

リゼ「詰みだな……負けたよ」

 

千夜「やったわ♪」

 

リゼ「いきなり攻めてきたな」

 

千夜「手持ちが揃うまで待っていたの、それまでは穴熊囲いよ」

 

リゼ「さすがだな、やっぱり付け焼刃じゃ歯が立たないか。……さて」

 

千夜「……」ウズウズ

 

リゼ「なにか聞いてほしいお願いがあったんだろ?自分有利な勝負を持ちかけるなんて千夜らしくないもんな」

 

千夜「そこまで分かっててのってくれたのね」

 

リゼ「まぁ、勝負自体は本気でした結果だけど」

 

千夜「…………」

 

リゼ「……言いにくいのか?」

 

千夜「そんなことないわ」

 

リゼ「わたしにできることならなんでもいいぞ」

 

千夜「……そうね」

 

リゼ「……?」

 

千夜「――先に、お布団入りましょうか」ニコッ

 

リゼ「分かった、なら片づけるか」

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

――――――――――――――――――――――

 

――IN ベッド――

 

リゼ「わたしのベッドでいいのか?布団くらいだったらあるぞ」

 

千夜「ううん、一緒に寝たいから」

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

千夜「ん……♪」

 

リゼ「……電気、消していいか?」

 

千夜「まだダメ……もう少し」

 

リゼ「?」

 

千夜「ふふっ――リゼちゃん」ギュッ

 

リゼ「わっ……千夜?」

 

千夜「明日もこうして一緒に寝られるのね……嬉しいわ」

 

リゼ「……!」

 

千夜「今だけ、リゼちゃん独り占め……」スリスリ

 

リゼ「………………」

 

リゼ「なぁ……千夜?」

 

千夜「んっ?」

 

リゼ「いつも、無理とかしてないか?」

 

千夜「してないわ、あれが自然体よ」

 

リゼ「そうか……いつもしっかりしているから、なんだか不思議で」

 

千夜「わたしだって、甘えたい時もある……」

 

千夜「いつものわたしも、今のわたしも、どっちも本性……」

 

リゼ「……それなら、いい」ギュッ

 

千夜「あら、受け入れてくれるの?」

 

リゼ「当たり前だろ。どっちも千夜なんだから、受け入れないわけない」

 

千夜「………………」

 

千夜「……優しいのね……ほんと……」ポスッ

 

千夜「これでも、特別じゃないのね……リゼちゃんは……もう……」

 

リゼ「千夜?」

 

千夜「抜け駆けしたら……みんな怒るかしら……」

 

リゼ「えっ」

 

千夜「ふふっ、きっとシャロちゃんがカンカンね……」クスッ

 

リゼ「千夜……どうしたんだ?」

 

千夜「なんでもないわ……ごめんなさい、つい」グスッ

 

リゼ「泣いてるのか?ごめん、わたしまたなにか……」

 

千夜「――えいっ」ゴロッ

 

リゼ「!」

 

――ウマノリ

 

リゼ「千夜……?」

 

千夜「ふふっ……♪」

 

千夜「天然ジゴロなリゼちゃんには、お仕置きしないとね」

 

リゼ「おしおき?」

 

千夜「約束通り……お願い、聞いて?」

 

リゼ「あっ、ああ……なんだ?」

 

千夜「……」ニコニコ

 

リゼ「なるべくお手柔らかにしてくれると助かる……」

 

千夜「大丈夫、そんなに難しいことじゃないわ」

 

リゼ「…………」ゴクリ

 

千夜「……明日」

 

 

千夜「――明日一日だけ、わたしのこと、お姉ちゃんって呼んで?」

 

 

リゼ「……へ?」

 

千夜「明日だけ、わたしの妹になって?リゼちゃん」

 

リゼ「妹って…そんなココアみたいなこと……」

 

リゼ「……冗談だよな?」

 

千夜「?」ニコッ

 

リゼ「……冗談じゃ、ないのか」

 

千夜「オフコース♪」

 

リゼ「うぅ……」

 

千夜「約束だもの、守ってくれるわよね?リゼちゃんは嘘つかないものね」

 

リゼ「で、でも……さすがにお姉ちゃん呼びは……」

 

千夜「なら、キスにする?」

 

リゼ「き、キスっ!?//

 

千夜「嘘つきなリゼちゃんには、ちゃんと罰を受けて貰わないと……」スッ

 

リゼ「ち、千夜!待てっ!分かった、お姉ちゃんって呼ぶから!//

 

千夜「ほんと?」

 

リゼ「ああ、その代わり明日一日だけだぞ?あとみんなには内緒だからな」

 

千夜「わかったわ、約束」

 

リゼ「ホッ……」

 

千夜「重たかったでしょ、降りるわ」ヒョイ

 

千夜「お願い聞いてくれてありがとうリゼちゃん、明日が楽しみね」ニコッ

 

リゼ「わたしは不安しかない……」

 

千夜「いつもわがままでごめんなさい、リゼちゃんだいすき」ギュッ

 

リゼ「お姉ちゃんなんだろ?甘えていいのか?」

 

千夜「日にち変わってないもの……今はまだ、わたしの方が甘える側」

 

リゼ「都合が良いな……やれやれ」ナデナデ

 

千夜「リゼちゃん、寝るまで背中撫でて?」

 

リゼ「ああ、撫でててやるからそろそろ寝ろ」

 

千夜「うん……おやすみなさい」ポスッ

 

リゼ「おやすみ、千夜」

 

 

――――――――――――――――――――

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

千夜「すぅ……すぅ…………」Zzz

 

リゼ(寝たか……)

 

リゼ(やれやれ……二人だとココア以上に甘えんぼうだな)ポンポンッ

 

千夜「ん……」Zzz

 

リゼ(いつもチノやシャロ、みんなに頼られっぱなしだもんな……)

 

リゼ「ありがとう、千夜。感謝してるぞ」ギュッ

 

千夜「リゼちゃん……だめぇ……」Zzz

 

リゼ「ははっ」クスッ

 

リゼ「………………」

 

リゼ(しかし……勢い任せで頷いてしまったが、千夜をお姉ちゃん呼びか……)

 

リゼ(嫌な予感がプンプンする……それに恥ずかしすぎるぞ……//

 

リゼ(明日は反対……わたしが甘える側ということか)

 

リゼ「………………」

 

リゼ「…………//

 

リゼ(どうか黒歴史が増えませんように……//)プシュ~

  

――おしまい♪

続編→ごちうさSS リゼ「一日だけ千夜をお姉ちゃんと呼ぶことになった」 

感想

  1. 名有り より:

    リゼちゃんが妹だと…⁉︎許せる!!!(ダーマ風)
    さらっと後から言ってましたけど、千夜ちゃんにとってはやっぱりキスの方が本命だったのだろうか…? リゼちゃんも千夜ちゃんも表に表さないだけで一人で抱え込んでしまうタイプ(という私の偏見ですが)だからでしょうか。この2人でいるときが一番ほんわかとしてて、お互いに思いっきり甘えることが出来るのかなと思いました。
    そういえば二人の仲を知ったとき、果たしてシャロちゃんはどちらにヤキモチを焼くのでしょうかね〜?…反応が気になりますね〜♪

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      千夜リゼは良いです……程よい百合で、描いていて心が浄化されます。
      リゼちゃんも千夜ちゃんも表に表さないだけで一人で抱え込んでしまうタイプ→いえ、偏見などではなくわたしもそうだと思います。
      だからこそ、千夜ちゃんもリゼちゃんも色んな動かし方をしやすく、とても繊細な心情描写もキャラ崩壊をさせずに描くことが出来ます。
      シリーズ化して本当に良かったです、これも名有りさん含め読者さんのご支援のおかげですね。
      続編のお姉ちゃん千夜ちゃんと妹リゼちゃんも、どうか拝読いただきますと幸いです。

      千夜ちゃんかリゼちゃんか……いずれにせよシャロちゃんが大変ですね、慌てふためくシャロちゃんはこの上なく可愛いですが。

  2. 名乗るほどの者では… より:

    穴倉←穴熊囲い+矢倉囲い…?
    私は素人なので将棋の囲いに詳しくないので、もし私が間違ってたら…と思うと申し上げにくいのですが…。
    m(。_。)m

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