ごちうさSS チノちゃんのG退治奮闘記

 

 

木組みの家と石畳みの街。

爽やかな風が草木を揺らし、暖かい風が吹き抜け始めた季節。

小さな喫茶店、ラビットハウスで『そいつ』は姿を現した……。

 

―――――――――――――――――――――

 

 

チノ「っ……!!!!!??」

 

G カサカサ

 

チノ「ご、ごごごご……っ!!」

 

カサカサ

 

チノ「ひっ!?ひ、ひとまず退却ですっ!!」ダダッ

 

ガチャッ バタン

 

 

チノ「はぁ……はぁ……!」

 

チノ「くっ……ついに現れましたか!」

 

チノ「ココアさんもリゼさんも父もいない間を見計らって侵入するとは……さてはプロですねっ!」カッ

 

チノ「相手は真冬の地獄を乗り越え、生き抜いてきた不死身の黒光り……油断できません!」

 

チノ「まずはこちらも武器を整えましょう!ママレモン、冷却スプレー、殺虫剤にハエ叩き……」

 

チノ「ハエ叩きと殺虫剤は……あった!あとは台所からママレモンを……――っ!?」

 

G ドアノスキマ カサカサ

 

チノ「っ~~~~っ!!!?」

 

チノ(簡単にやられるわたしではありません、2階へ退却!!)ダダッ

 

 

 

チノ「はぁ……はぁ……!」

 

チノ(間違いありません、彼奴は白昼堂々とわたしを殺るつもりです!)

 

チノ(このままここに身を隠していても見つかるのは時間の問題……ならば、こちらから一気に畳みかけたほうが!)

 

チノ(こちらの戦力はわたしひとり、しかも武器はハエ叩きと殺虫剤だけ……しかし、飛び道具と近接攻撃を手に入れられただけ幸いです)

 

チノ(それに相手は一匹……プロとはいえ、所詮はG……この勝負、いけます!)

 

チノ「負けられません……っ!」ゴゴゴ

 

チノ「っ!」タタタ

 

 

 

チノ「…………」ゴクリ

 

チノ「…………」キョロキョロ

 

チノ(いませんね……厨房のほうでしょうか)

 

――ガチャッ

 

 

チノ「……見当たりません」

 

チノ(まさか……危険を察知して逃げた?彼奴はプロ、ありえますね)

 

チノ「むっ……!」

 

チノ「殺気!?」バッ

 

G カサカサ

 

チノ「現れましたね……!逃げずに立ち向かってくるとは心意気だけは褒めてあげます!」

 

チノ「しかし、勇気と無謀は違います!あなたの無謀は命取りです!」シューッ!

 

バッ

 

チノ「なっ……弾道を見切った!?」

 

ガサガサガサ!

 

チノ「ひっ!?通常の3倍速……!」

 

チノ「ならば白兵戦です!とりゃーっ!!」バシッバシッ!

 

ブゥーン

 

チノ「と、飛ぶなんて卑怯です!」ブンブン!

 

カサカサ!

 

チノ(逃げられましたか……敵ながらあっぱれです)

 

チノ(しかしあの様子、奴は完全にわたしを恐れています)

 

チノ(今なら一方的に押し切れます、いざ!)ダダダ

 

 

チノ「2階に上がりましたね、わたしの直感がそう言っています!」

 

チノ「……!?」

 

チノ(ということは……まさか!)

 

 

 

――チノの部屋――

 

 

――ガチャッ

 

チノ「っ!」バッ

 

G サササ

 

チノ「やはり……わたしとココアさんの愛の巣に土足で侵入するとは、許せません!」

 

チノ「その罪、死して償ってもらいます!とぁ!」バシバシッ!

 

ベッドノシタ ササッ

 

チノ「あっ」

 

チノ「往生際の悪い……もう隠れても無駄ですよ」

 

チノ「せめてもの情けです、そのまま隠れてスプレー攻めか、潔く出てきてハエ叩きか、決めさせてあげます」

 

シーン……

 

チノ「無視ですか、ならばスプレーです!」プシューッ

 

ガサガサ

 

チノ「今さら降伏なんて手遅れ――……っ!?」

 

G×2

 

チノ「に、二匹!?そのためにわざわざここをフィールドに……!」

 

ガサガサ ブーン

 

チノ「うにゅ~伏兵なんてずるいです!このっこのっ!」バシバシッ

 

グシャッ!

 

チノ「や、やりました!あとは隠れていた方を……!」

 

ササッ

 

チノ「逃がしません!――あれ?」

 

シュ~……

 

チノ「弾切れ!?そんな!」

 

カサカサ!

 

チノ「あっ……」

 

チノ「……まぁ良いでしょう、次で最終ラウンドにしてやります」ゴゴゴ

 

チノ(飛び道具はこれでゼロ……お互い白兵戦のみで、11の対決……)

 

チノ(ママレモンや新しい武器を補充に行けますが、わたしはそんな卑怯なことはしません)

 

チノ(いざ、尋常に!)バッ

 

 

ガチャッ

 

 

チノ「廊下にいない……!?」

 

チノ(しかし気配は残っています……まだ2階にいますね)

 

チノ(様子を伺っているのでしょうか、もしくはまた増援を……)

 

チノ「――!」

 

チノ「………………」

 

チノ「…………」

 

チノ「……」

 

チノ「」

 

 

――ココアの部屋――

 

チノ「…………」ガチャッ

 

チノ「!」

 

G ココア ベッド

 

チノ「」

 

チノ「……やりましたね」

 

チノ「とうとう……わたしを本気にさせましたね!」ゴゴゴ

 

チノ「この世で一番神聖な場所を侵した罪……覚悟!!」

 

チノ「ふみゃああっ!」バシッバシッ

 

G ブーン!

 

チノ「捨て身特攻ですか!今更そんなものに怯むわたしではありません!」

 

ヒョイ

 

チノ「ああっ!ココアさんのベッドに乗っちゃダメです!そこはわたしの場所です!」バシバシッ

 

G ブーン ピタッ

 

チノ「っ……!?」

 

カサカサ!

 

チノ「ひっ……ひ……!」

 

 

チノ「ひゃああああっ!!!」

 

 

……。

…………。

………………。

 

 

タカヒロ「ココアくんリゼくん、すまなかったね」

 

リゼ「いえ、こんなのお安い御用ですよ」

 

ココア「チノちゃん一人で寂しがってないかな」

 

タカヒロ「ただいま」ガチャッ

 

ココア「チノちゃーん、ただいま!って、あれ?」

 

ココア「チノちゃんは……?」

 

フミャアアアア!

 

リゼ「!?」

 

リゼ「チノの悲鳴……!」

 

ココア「リゼちゃん!」

 

リゼ「分かってる!いくぞっ!」ジャキ

 

 

 

ココア「部屋にいない……まさかわたしの部屋!?」

 

リゼ「こっちか……!」

 

ガチャッ!

 

リゼ「チノっ!無事か!?」ジャキ

 

チノ「」

 

ここあ「チノぢゃんっ!!?」

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

チノは気を失った状態で発見された。

ココアのベッドの上で倒れていたその表情は、なぜか穏やかで満たされていたという。

 

聞くところによると、留守の間にどうやらGと遭遇しててんやわんやの騒動があったらしい。

1匹は仕留めたらしいが、もう1匹には逆に仕留められてしまったようだ。

4人で探し回ったが、結局生き残りのGは見つからなかった。

逃げたのであれば別に良いが、営業中にまた現れたりしたら大変だ。

 

こうしてチノの奮闘記は幕を閉じた……はずだったのだが。

 

 

チノ「…………」プクー

 

ココア「ねぇリゼちゃん、最近のチノちゃんなんだかご機嫌斜めじゃない?」ヒソヒソ

 

リゼ「ああ、たぶんやられてしまったのが余程悔しかったんだろうな」ヒソヒソ

 

チノ「」ピクッ

 

チノ「わたしは負けていませんっ!!」バンッ!

 

ココア「ひゃあっ!」

 

リゼ「聞こえてたのか!?」

 

チノ「飛び道具を補充していればわたしの勝利だったんです!彼奴を信じてフェアプレイを挑んでしまったのが勝敗を分けただけです!」

 

リゼ「そ、そうか、すまない」

 

ココア(飛び道具ってなんだろう)

 

チノ「今度会った時は全力で仕留めるんです、それまでこの勝負は向こうに預けておきました」

 

リゼ「ゴキ〇リに勝負を預けてどうするんだ……――って、ココア!?足元っ!」

 

ココア「へっ?」

 

G カサカサ

 

ココア「ヴぇああああっ!!?」バッ!

 

チノ「そいつは……あの時の!ついに現れましたね!」

 

リゼ「分かるのか!?」

 

チノ「こやつです、間違いありません!今日こそ雪辱を晴らしてこの戦いに終止符を打ちます!」

 

チノ「待っててください、台所からママレモンを――」

 

ココア「チノちゃん早くしてぇ!!」バタバタ

 

カサカサ ――グシャッ!

 

ココア「あっ……」

 

チーン……

 

リゼ「ココアの足元に……どうやら自滅したようだな」

 

ココア「うぅ~最悪だよ、わたしのブーツが――」

 

ココリゼ「……はっ!!」

 

 

チノ「………………」

 

 

チノ「わたしの、カタキが……」

 

リゼ「ち、チノ、きっとお前を倒したのはこいつじゃなかった!気のせいだ、なっ?」

 

ココア「そ、そうだよ!それにわたしとチノちゃんは姉妹だし、代わりにお姉ちゃんが倒したってことでも――」

 

チノ「っ……!」プクー

 

ココア「あわわ……!」

 

チノ「もう知りませんっ!みんな敵です!嫌いですっ!!」ジタバタ

 

リゼ「チノっ!落ち着けぇ!」

 

ここあ「お姉ちゃんが悪かったからぁ!!」

 

 

こうしてチノちゃんの真の戦いは、ココアちゃんのスタンピングによって幕を閉じた……。

この後、タカヒロさんがチノちゃんにバレないようこっそりゴキブリホイホイを仕掛けておいたのは言うまでもない……。

 

――おしまい。

感想

  1. K より:

    面白かったです。
    これからも頑張ってください。

  2. Beyond the Average より:

    ガンダムネタいいですね!
    Gが3体出て、「黒い三連星」とかもいいですね!

タイトルとURLをコピーしました