ごちうさSS 「意味深なごちうさSS Case3:チノ」

 

――早朝――

 

ココア「うぅ~寒いねぇチノちゃん」

 

チノ「もう1月ですから」

 

ココア「これだと2月は去年みたいにまた雪が降りそうだね!」

 

ココア「今年はみんなで雪合戦しようね、青山さんも入れて8人で!」

 

チノ「雪が降ったら考えます」

 

ココア「リゼちゃんに教えてもらった魔球を披露してあげるよ」フンス

 

チノ「結構です」フルフル

 

ココア「あっ、そろそろお別れだね」

 

チノ「ココアさん、道が滑るので気をつけてください」

 

ココア「いってきます!チノちゃんもいってらっしゃい♪」フリフリ

 

 

 

チノ「ふぅ…………」

 

チノ(寒い……もう一枚着てくればよかったかな)

 

チノ(…………んっ?)

 

チノ(あれ……シストの地図?)

 

 

 

チノ「……?」ピッ

 

チノ(どうしてこんなところに……?)

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――お昼休み――

 

マヤ「へぇ~シストの地図みつけたんだ」

 

チノ「はい、公園の自販機に貼り付けられていました」

 

メグ「帰りにみんなでやろっかぁ」

 

チノ「いえ、それが……」スッ

 

マヤ&メグ「?」

 

マヤ「なにこれ、破れてるじゃん」

 

メグ「誰かが破いちゃったのかな?」

 

チノ「そう思ったんですが、良く見るとここに数字が」

 

マヤ「3……?あっ、もしかしてバラバラの地図とか!?」

 

メグ「なるほどぉ、誰かがわざと破いて隠したんだね」

 

チノ「はい、恐らく残りの地図もあの公園のどこかにあるんだと思います」

 

マヤ「よーし!今日の帰りにみんなで探そう!」

 

メグ「シストのシストだね、何枚くらいあるのかな?」

 

マヤ「完成した地図の先に、本当のお宝が隠されてたりして!」

 

メグ「ワクワクするね~♪」

 

キャッキャッ ワイワイ

 

チノ「…………」クスッ

 

チノ(……でも、どうしてあんなに見つかりやすい場所にあったのかな……)

 

マヤ「チノ、どうしたの?」

 

チノ「えっ?あ、いえ……」

 

メグ「みんなで頑張ろうね」

 

チノ「はい」

 

 

――

――――

――――――

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

チノ「暗くなってきましたね」

 

メグ「マヤちゃん、そろそろ帰ろう」

 

マヤ「え~まだあとちょっと~」

 

チノ「手がかじかんで動きません……」ブルブル

 

メグ「風邪引いちゃうよ、ねっ?」

 

マヤ「ちぇ~しょうがないなぁ」

 

チノ「これで1と2と3と4が揃いましたね」

 

メグ「結局4枚しか見つからなかったね、あと何枚あるんだろう」

 

マヤ「見て、1と2の地図はちゃんと繋がるよ!」

 

チノ「もし誰かが先に残りの地図を見つけていたらアウトですね」

 

メグ「そっかぁ、それだといくら探しても見つからないもんね」

 

マヤ「だったら今度は残りのシストの地図を持った人探しだ!」

 

メグ「シストのシストのシストだね」

 

チノ「どんどん遠ざかっているような気がします……」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

チノ「ただいま」ガチャッ

 

タカヒロ「おかえり、ずいぶん遅かったね」

 

チノ「すいません、少し寄り道を……」

 

タカヒロ「お風呂が沸いてるよ、先に入っておいで」キラン

 

チノ「ありがとうございます……くしゅん……!」

 

タカヒロ「風邪には気をつけるんだよ」

 

チノ「ずずっ……はい」

 

ココア「チノちゃん!」ダダッ

 

チノ「!」

 

ココア「心配したよ!これからは寄り道するならお姉ちゃんに連絡してね!」スリスリ

 

チノ「苦しいです……」

 

ココア「寒かったでしょ?お姉ちゃんが暖めてあげるよ~!」ギュッ

 

チノ「お風呂に入るので結構です」

 

ココア「なら一緒に入ろう、ココア風呂だね」

 

チノ「まったく……しょうがないココアさんです」クスッ

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

――早朝――

 

チノ「」ガサゴソ

 

チノ「……ふぅ」

 

チノ(あと調べてないのは向こう側の2つのエリア)

 

チノ「この公園は広いですね、おじいちゃん……」ポスッ

 

ティッピー「公園というよりはマラソンコースじゃからの」

 

チノ「うぅ、寒いです……」ブルブル

 

 

??「――チノちゃん?」

 

チノ「?」

 

シャロ「おはよう、朝からお散歩?」

 

チノ「シャロさん、おはようございます」

 

シャロ「寒そうね……あっ、良かったらこれ飲む?今朝に千夜からもらったんだけど」

 

チノ「おしるこ……頂いてもいいんですか?」

 

シャロ「2本あるから、はい」スッ

 

チノ「ありがとうございます」

 

 

 

シャロ「シストの地図探し?」

 

チノ「はい、バラバラに隠されていて……昨日マヤさんとメグさんと一緒に3枚見つけたんですが」

 

シャロ「今日はチノちゃん一人で探してるの?」

 

チノ「メグさんもマヤさんも風邪を引くといけないので……」

 

シャロ「そう、でもこの公園だと一人で全部探すのは大変ね……」

 

シャロ「いいわ、一緒に探しましょう」

 

チノ「えっ?ですが……」

 

シャロ「今日はアルバイト午後からだから大丈夫、それに、ココアが起きてくる前にラビットハウスに帰らないとダメでしょ?」

 

チノ「!」

 

シャロ「マヤちゃんとメグちゃんと3人だけの秘密?」クスッ

 

チノ「……はい、マヤさんが」

 

シャロ「そう、内緒にしておくわ」

 

チノ「ありがとうございます」

 

チノ「ところでシャロさんはこんな早朝からどこへ?」

 

シャロ「ん……早朝開店セール、なんとか確保したわ」ガサッ

 

チノ「戦い終えたあとでしたか」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

チノ「…………」ガサゴソ

 

チノ「……」ヒョイ

 

チノ「――!」

 

チノ「あった……5番……!」

 

チノ(4の地図とぴったり、間違いないです……!)

 

シャロ「チノちゃーん!」

 

チノ「?」

 

シャロ「向こうで7番見つけたわ!」

 

チノ「……!」

 

シャロ「ほら、これよね」

 

チノ「はい……間違いないです……!」

 

シャロ「それ5番?チノちゃんも見つけたのね」

 

チノ「どうやら7番が最後のようですね、ここに印が」

 

シャロ「ならあとは6番だけね。……でも」

 

チノ「はい、もう11時ですし、今日のところはこれで切り上げます」

 

シャロ「寒かったでしょ、家に帰ったら暖かくしてひとやすみしてね」ニコッ

 

チノ「シャロさん……ありがとうございます//

 

シャロ(チノちゃん嬉しそう、よかった……♪)

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――夜 自室――

 

 

チノ「これで6枚揃いました」

 

ティッピー「やったの、チノ」

 

チノ「はい、あとは1枚だけです」ニコッ

 

ティッピー「楽しいか?」

 

チノ「なんだかパズルみたいで……6番目の地図が見つかったら、今度は3人でシストですね」

 

ティッピー「面白いものが見つかるといいの」

 

チノ「何も無くてもいいんです、ほんとは」

 

チノ「ただ、マヤさんとメグさんと一緒に探しに行きたいだけで……」

 

チノ「わたしたちが終わったら、今度はココアさんたちに渡しましょう」クスッ

 

ティッピー「ふむ」

 

チノ「おじいちゃん、これなんだと思いますか?木のマークに階段、お店……」

 

ティッピー(6番目も見つかるといいがの)

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

――翌日――

 

 

リゼ「チノー?カフェオレとカプチーノひとつだ」

 

チノ「はい」

 

 

チノ「できました、お願いします」ゴトッ

 

リゼ「おっ、早いな」

 

ガチャッ

 

チノ「いらっしゃいませ」

 

チノ「カフェラテですね、少々お待ちください」

 

リゼ「チノ、なにかいいことでもあったのか?」

 

チノ「えっ?」

 

リゼ「なんだか普段より明るい気がして」

 

チノ「いえ、そんなことは……」

 

リゼ「そっか、まぁ良い傾向だな。その調子で頼む」

 

チノ「は、はい」

 

チノ(今日は3時まで……あと3時間、頑張ろう)

 

ココア「二人ともおはよう、遅れてごめんね~」タタタ

 

リゼ「やっと起きてきたか」

 

チノ「おはようございますココアさん」

 

チノ(…………)スッ

 

1・2・3・4・5・7

 

チノ(ふふっ……)

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――PM4:00 公園――

 

チノ「ふぅ…………」

 

チノ(見つからない……誰かに拾われたのかな)

 

チノ(もう4時……あと1時間だけ探そう)

 

チノ「今日も寒いですね……」オシルコ カポッ

 

チノ「……」ゴクゴク

 

ティッピー「チノや」

 

チノ「?」

 

ティッピー「さっきからあの子、ずっと何か探しているようじゃが……」

 

チノ「あの女の子ですか」

 

チノ「……本当ですね」

 

チノ「……もしかしたら」スッ

 

 

 

チノ「探し物ですか?」

 

チノ「――シストの地図を、やっぱりそうでしたか」

 

チノ「……これ」スッ

 

チノ「ほかは全部見つけてあります、どうぞ」

 

チノ「――はい、いいんですよ」

 

チノ「寒い中、大変でしたね」

 

チノ「お宝、頑張って見つけてください」

 

チノ「」ニコッ

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

――夜 自室――

 

 

チノ「うーん……」パズル

 

ティッピー「チノや」

 

チノ「なんですかおじいちゃん?」

 

ティッピー「シストの地図……よかったのか?」

 

チノ「はい。あの子、喜んでいましたから」

 

ティッピー「じゃが……」

 

チノ「いいんです、わたしたちがするよりずっと楽しんでくれるはずですから」

 

チノ「マヤさんとメグさんには明日謝っておきます。あとシャロさんにも」

 

ティッピー「優しいの、チノは」

 

チノ「ココアさんたち……みんなのおかげかもしれません」

 

チノ「それに、ちゃんと全部見つかりましたから」

 

ティッピー「そうじゃな」ピョン

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

――学校――

 

マヤ「結局その子にあげちゃったんだぁ」

 

メグ「優しいね、チノちゃん」

 

チノ「すいません、せっかくみんなでやるはずだったのに」

 

マヤ「いいよ~また途中で飽きるかもしれないしさ。その子にあげて正解だよ」

 

メグ「ひとりで残り全部見つけたんだ、すごいね」

 

チノ「いえ、実はシャロさんも手伝ってくださって」

 

マヤ「わたしたちも呼んでくれればいいのに水臭いなぁ」

 

メグ「またみんなでやりたいね、お宝探し」

 

マヤ「そうだ!ねぇねぇ、今度3人で――」

 

チノ「……♪」クスッ

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――翌日 甘兎庵前――

 

チノ「♪~♪♪」テクテク

 

チノ(あれは)

 

チノ「千夜さん、おはようございます」

 

千夜「チノちゃん……おはよう」

 

チノ「掃除ですか?」

 

千夜「うん、日課だから一応……」

 

チノ「……?どうかされたんですか?」

 

千夜「えっ……?」

 

チノ「千夜さん、なんだか元気がないような気がして」

 

千夜「……ちょっと、ね」

 

千夜「あんなことがあったから、少し怖くて……」

 

チノ「……?」

 

千夜「チノちゃん……お父さんから聞いてない?」

 

チノ「えっと……」

 

 

千夜「この近所に住んでいた女の子が、いま行方不明になってるの」

 

 

チノ「――!」

 

千夜「昨日ひとりで遊びにいったきり、まだ帰ってこないらしくて……」

 

チノ「!!」

 

千夜「明日から捜索が開始されるみたいよ、もし誘拐だったりしたら……」ブルブル

 

千夜「無事に見つかってくれるといいわね……」

 

チノ「………………」

 

千夜「だから、チノちゃんも気をつけてね。帰り道はマヤちゃんやメグちゃんと一緒に……」

 

千夜「――……?チノちゃん?」

 

チノ「…………」

 

 

――ガクッ……

 

 

千夜「!」

 

チノ「……っ!」ガクガク

 

千夜「チノちゃん!?」

 

チノ「ぁ…………ぁ……」ガクガク

 

千夜「チノちゃんっ!?どうしたの!?しっかりしてっ!!」

 

チノ「ちがっ………あ……」ガクガク

 

チノ「わたし……ぁ…………」ガクガク

 

チノ「…………っ」ブルブル

 

千夜「……!?」

 

チノ「お父さん…おじいちゃん……ココアさん……」ポロポロ

 

チノ「お母さん……どうして…こんな……」ポロポロ

 

千夜「チノちゃん……!?チノちゃんっ!!」

 

 

チノ「お母さん、助けて……っ!」ポロポロ

 

 

千夜「チノちゃんっ!!」

 

 

……。

…………。

………………。

 

 

――平穏な日常に潜む、恐るべき残酷。幸福の先に待ちうける非情の真理。

感想

  1. 非常勤 より:

    どんな風に終わるのかと思ったらそういう…

    チノを責めるわけにもいかないけど確実に原因はチノなわけでありなんとも難しい…

  2. 名有り より:

    またココアちゃんかリゼちゃん関連かと思ったら…うわああああごちうさで一番考えたくなかった展開がぁぁぁ……でも、よくよく考えてみれば、普通なら誰かの罠であったとしてもおかしくないんだよな…平和すぎる世界観に感覚が麻痺していた

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      世界観を逸脱しすぎないように気を付けないといけませんね……。
      少し反省です。

  3. はにすけ より:

    宝を探して、街の子供達が特定の、しかも人気の無い場所にやってくる、という
    シストの特徴を悪用した犯罪に巻き込まれてしまったのでしょうか…。

    地図がバラバラになってたのも何か意味があるのかと考えましたが、犯人的には
    単に目的の場所に来てもらう地図だけで良いのだけど、それだと流石に不自然だし、
    かといってクイズを作るのも面倒なので、パズル形式にしてシストっぽくしたとか?

    シストって、本国フランスだけでなく、日本でも行われてるんですね。
    悲しいことが起きないことを祈るばかりです。

    意味深シリーズ、不謹慎な言い方になりますが、考えが巡らせられて面白いです!
    次回作も楽しみにしてます♪

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      はにすけさんは既にご存知の通り、この作品だけは色々心残りとトラウマがございますが。
      自分が描いた一つの作品に違いはありませんので、わざわざ時間を割いてまで読んで頂いたご感想は素直にありがたく受け取らせて頂きます、ありがとうございます。

      答えは読み手側及び、わたし自身に至るまで千差万別ですのでどのような解釈をしていただいても結構でございます。
      下手にわたしがここで答えや組み込んだ意図を説明してしまうより、きっとその方が物語的にもずっと素敵なものになると思いますので。

      意味深シリーズ、世界観と描写ギミック、意図的なあいまいな結末描写と大変ですが、はにすけさんが面白いと言ってくださるのであれば再びリベンジしたいと思います。
      次回作は残酷なだけでなく、もっと分かりにくく不思議な結末にしてみますね。←(これもこれで恐らくまた苦情がきますが;)

  4. 匿名 より:

    チノちゃんに救いを…!(続編希望)

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      シリーズSSですので、申し訳ながら続編は予定しておりません。
      チノちゃんごめんね……次回作は必ず幸せにするから。

  5. ぬまっち より:

    砂水先輩こんにちはーお久しぶりです。
    最近ダークなスタイルも書いているみたいですねー
    暗いのはちょっと苦手ですが面白いので全部見させてもらっています
    先輩大学出て会社で働いているんですかー超かっこいいです尊敬してます(ツイッタ見てます僕は高卒のバイトです)
    これからも休憩時間や寝るまえに見させてもらいます頑張ってください。
    今日夜勤なのでこれから寝ますおやすみなさいー

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ぬまっちさんこんばんは、お久しぶりです。
      実は本来ならばダークな描写に定評のある売れない作家ですので……;

      大学は途中で中退させられましたので、ぬまっちさんと同じく実質的には高卒ですよ。
      本社も会社とは言えない緩い場所ですし。
      アルバイト、頑張ってくださいね。くれぐれも身体にはお気をつけて。
      またいつでもお待ちしております。

  6. みー より:

    今回はなんとなーくわかりやすかった気がしますねー!(多分)

  7. 匿名 より:

    あれ?
    最初にチノちゃん自販機で3見つけてたやん……?
    自販機に放置していったの?

    ……まさかチノちゃんが二人……?

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      校正作業ミスです、ごめんなさい。
      ご指摘ありがとうございます、直ちに修正いたしました。

  8. みくる より:

    かわいそうなちのちゃんと女の子。書いた人って・・・でもおもしろかったよ。

  9. Beyond the Average より:

    平穏な日常に潜む残酷、に私は全く気付かなかったので、お話の結末にかなり驚きました。チノちゃん…。
    そう言えば誰もシストの地図を疑いませんが、信用しすぎですね。
    後でシストを利用した犯罪を調べましたが見つからなかったので少し安心しました……ってことはこの展開は砂水先生のオリジナル…。
    …先生の発想力にはいつも驚くばかりです(良い意味で)!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      この物語は、わたくしの黒歴史……;
      上層部に怒られるわ批判は殺到するわで当時は大騒ぎでした……。

      とりあえずは作品としてここに掲載はしていますが、あまりにも不快になられる方が多い場合は消してしまうことも検討しております。
      元々ダークな作風に定評がある私の地の部分が出てしまったのでしょうね。

  10. みく より:

    真実がわかった途端鳥肌がっ…怖っ!

  11. 匿名 より:

    ココアがチノを探して行方不明になったてことか?

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