ごちうさSS 幼いココア、みんなとカルタ大会

 

――1月1日 天々座家 応接間――

 

リゼ父「新年……明けまして」

 

全「おめでとうございます!!」

 

ここあ「おめでとうございます!」

 

リゼ「大きな声で言えたな、偉いぞここあ」ナデナデ

 

ここあ「えへへ♪」

 

リゼ父「お前たち、私語は慎めよ」

 

ここあ「あっ……」スッ

 

リゼ「すまない親父」

 

ここあ「おとうさん、いつもよりきびしいね」ヒソヒソ

 

リゼ「ああ、使用人たちみんなの前だからな」ヒソヒソ

 

リゼ父「さて……恒例のお年玉だ」

 

リゼ父「まずはお前からだ」

 

使用人「へい」

 

ここあ「みんなにあげるの?おとうさんすごい!」

 

リゼ「ここあ、しーっ……」

 

リゼ父「」ドヤッ

 

リゼ「怒らないのかよ!」

 

リゼ父「今年もしっかり働いてくれ、ただし、無理はするな。休暇が必要な時はいつでも言え」

 

リゼ父「全員受け取ったな?以上だ、もう帰ってもいいぞ」

 

使用人「失礼します!」

 

ゾロゾロ ガチャッ バタン

 

リゼ父「さて……あとはお前たちだけだな」

 

使用人「あの、あっしは……?」

 

リゼ父「今年はリゼたちが世話になったからな、お前には特別だ」スッ

 

使用人「極厚!?……さすがにこれは」

 

リゼ父「遠慮するな、ボーナスとでも思え」

 

ここあ「ゆうしゃさんがんばったもんね!」

 

リゼ「受け取ってくれ、今年もここあのことをよろしく頼む」

 

使用人「お嬢……ちいせぇお嬢……」

 

使用人「わかりました……では、有難く頂戴します」

 

リゼ父「よし……。次はリゼ」

 

リゼ「はい」

 

リゼ父「今年はいよいよ受験か。頑張るんだぞ」スッ

 

リゼ「ありがとう親父――って、こんなにくれなくてもいいぞ!?」

 

リゼ父「その子の絵本や洋服代も含んでる、大学生活にも色々と要りようになるだろうしな。いいから取っておけ」

 

リゼ「親父……すまない、ありがとう。大切に使うよ」

 

リゼ父「よし。さて……最後はお前だ」ニヤッ

 

ここあ「ふぉぇ?わたし?」

 

リゼ父「ああ、ほら」スッ

 

使用人「カード3枚、ですか?」

 

ここあ「おとうさん、これなにもかいてないよ?」

 

リゼ父「それはな、好きな願いを書けばどんなことでもかなえられる魔法のカードだ」

 

ここあ「!」

 

リゼ父「欲しいものでもしたいことでも、3回だけなんでも叶えてくれる」

 

ここあ「ほんと!なんでも!?」

 

リゼ父「ああ、リゼに書いてもらって俺のところに持ってこい」

 

使用人(なるほど)

 

リゼ「くすっ、良かったなここあ」

 

ここあ「おとうさんありがとう!いまつかってもいい?」

 

リゼ父「いいぞ、なにかほしいものがあるのか?」

 

ここあ「りぜちゃんかいて、かいて!」

 

リゼ「なんて書くんだ?」

 

ここあ「えっとね――――」

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

――ラビットハウス――

 

タカヒロ(チノには渡したし、あとはここあくんとリゼくん、千夜くんとシャロくんにも渡そう)

 

タカヒロ(マヤくんとメグくんにもなにか……んっ?)

 

Prrrrrrrrrr!

 

タカヒロ「はい、こちらラビットハウス」ガチャッ

 

リゼ父「明けましておめでとう、俺だ」

 

タカヒロ「お前か……どうした?」

 

リゼ父「今から10分以内に俺の家へ集合だ。娘を連れて来てくれ」

 

タカヒロ「唐突だな。悪いが、今から掃除だ」

 

リゼ父「俺の大事な娘の頼みなんだ、聞いてくれないと許さんぞ」

 

タカヒロ「……なるほどな」

 

リゼ父「わかってくれたか?」

 

タカヒロ「他でもないラビットハウスの家族の頼みだ、断るわけにはいかんな」

 

リゼ父「……タカヒロ、お前とはそろそろ決着をつけないとな」

 

タカヒロ「望むところだ」

 

リゼ父「ふん」プチッ

 

タカヒロ「さて……」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

――甘兎庵――

 

千夜「大掃除~大掃除~♪」

 

千夜「おばあちゃん、戸棚から出てきたこの未開封のお中元て――」

 

Prrrrrrrrrrrrr

 

千夜(あら……リゼちゃんから?)

 

千夜「はいもしもし」ガチャッ

 

ここあ「ちやちゃん!あけましておめでとう!」

 

千夜「ここあちゃん♪ふふっ、おめでとう」

 

ここあ「あのねあのね、いまからみんなであそぶから『ちやちゃん』もきて!」

 

千夜「みんなであそぶ?」

 

リゼ「こら、ちゃんと先に千夜の都合を聞かないとだめだろ?」

 

ここあ「あ……」

 

リゼ「もしもし千夜、あけましておめでとう。今年もよろしく頼む」

 

千夜「おめでとうリゼちゃん、こちらこそお願いね」

 

リゼ「ところで、今日は何か予定あるか?」

 

千夜「みんなで初詣は明日だし、甘兎庵の大掃除くらいかしら」

 

リゼ「大掃除……そうか、ならしょうがないな」

 

ここあ「ちやちゃんこれないの……?」

 

リゼ「今日は甘兎庵の仕事で忙しいらしい」

 

千夜「待ってリゼちゃん、なにかここあちゃんのお願い?」

 

リゼ「ああ、実は――」カクカクジカジカ

 

 

千夜「そう、ここあちゃんのお年玉なの。リゼちゃんのお父さん、やっぱり素敵ね」

 

リゼ「でもさすがに急すぎるよな、すまないな千夜」

 

千夜「ううん、大丈夫よ。わたしもすぐに行くわ」

 

リゼ「えっ?でも……」

 

千夜「営業日までに間に合えばいいもの。それに他ならぬここあちゃんのお願いだし、ね?」

 

リゼ「千夜……」

 

千夜「もちろんシャロちゃんも呼ぶでしょ?ついでに誘っていくから待ってて」

 

リゼ「ありがとう、助かるよ」

 

ここあ「ちやちゃんくる!?」

 

リゼ「ああ、シャロも一緒に連れてきてくれるってさ」

 

ここあ「わーい!しゃろちゃんもいっしょ!」ピョンピョン

 

リゼ「聞こえたか?大喜びだ」クスッ

 

千夜「そんなに喜んでもらえるなんて光栄だわ」ニコッ

 

リゼ「あとはマヤとメグだな」

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

――天々座家――

 

リゼ父「7、8、9、10……よし、揃ったな」

 

リゼ父「まずは、あけましておめでとう」

 

マヤ「挨拶はいいから早くやろっ!またサバゲーでしょ!」

 

チノ「すいませんメグさん、年初めからまた……」

 

メグ「ううん、みんなと会えて嬉しいよ」ニコッ

 

シャロ「わたしが連れてこられたのはなに、過去のトラウマを掘り返すため……?」ブルブル

 

千夜「大丈夫、聞くところによると今回はサバゲーじゃないみたいよ」

 

リゼ「えっ?」

 

リゼ父「そうだ……今回はお正月らしく……」

 

リゼ父「――カルタ争奪戦だ!」

 

全「!」

 

タカヒロ「なるほどな……」

 

リゼ父「ただのカルタじゃない、この屋敷全体を使用する」

 

リゼ父「今しがたメイドに手配してこの屋敷内全部にカードを撒いた」

 

リゼ父「以前のように2チームに分かれて、このカルタを捜索する」

 

リゼ父「発見しだい無線で報告、味方同士で相互に連絡を取り合うことは可能だ」

 

リゼ父「なお、カードは簡単に見つかるものもあれば意外なところに隠れているものもある」

 

リゼ父「どんな手を使っても構わない、なんでもありのデスマッチだ。俺が許可する」

 

ここあ「たのしそう……!」キラキラ

 

リゼ「なんでもあり、か。ふふん、望むところだ」

 

シャロ「暴力は無しですよね!?」

 

マヤ「うおー今回も面白そうじゃん!!早くやろう!」

 

メグ「屋敷内ってことは、お外にも設置されてるのかな」

 

使用人「あの……もしかしてあっしも?」

 

リゼ父「もちろんお前もだ。さぁ、くじを引け!」

 

タカヒロ「今回はお前と俺は別れなくていいのか?」

 

リゼ父「不本意だがカルタだからな」

 

チノ「う……」ゴクリ

 

千夜「トップバッターいきまーす♪」ヒョイ

 

 

 

リゼ父「――こうなったか」

 

 

Aチーム

 

ここあ

チノ

リゼ

マヤ

使用人

 

Bチーム

 

千夜

シャロ

メグ

リゼ父

タカヒロ

 

 

タカヒロ「よりによってお前と同じチームとはな」

 

リゼ父「それはこっちのセリフだ」ギリギリ

 

千夜「シャロちゃん、今回は同じチームね、よろしく」

 

シャロ「カルタだからね?変な作戦とか無しだから!」

 

メグ「シャロさんと千夜さんとだぁ♪」

 

 

リゼ「ここあーっ!同じチームになれたなぁ!」スリスリ

 

ここあ「りぜちゃんやめてぇ、くるしいよ」キャッキャッ

 

チノ「マヤさん、今回は味方同士ですね」

 

マヤ「ふっふーん、わたしが仲間になったからには安心しなよチノ!」

 

マヤ「おやくざさんも、頼りにしてるよ」ポンッ

 

使用人「や、やくざ!?」ガーン

 

 

リゼ父「5分後に開始する!好きなところに散らばれ!」

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

――Aチーム――

 

リゼ「わくわくするなぁ……!」

 

使用人「お譲、気合入ってますね」ヒソヒソ

 

チノ「この前のサバゲーはリゼさんだけ参加できませんでしたから」ヒソヒソ

 

使用人「あと、この子の前だから余計にですね」

 

ここあ「?」

 

マヤ「リゼー!作戦はどうする?」

 

リゼ「そうだな、しらみつぶしの捜索である以上、確かに各自別々に分かれたほうが効率が良いかもしれん」

 

リゼ「しかし、親父はこう言っていた。どんな手を使っても構わないデスマッチだと」

 

リゼ「つまり……絶対に取れないような場所に隠されている可能性も十分あるというわけだ」

 

チノ「そんなのカルタじゃないです……!」

 

使用人(でもあの人ならやりかねない……)

 

リゼ「まずはカルタの隠し場所の情報を集めよう、見つけたカードの場所はこの紙にメモする」

 

リゼ「こうしておけば次にそのカードが読まれたときすぐさま駆けつけることが出来る」

 

リゼ「それまでは、5人で集まって探そう」

 

使用人「なるほど……了解です」

 

ここあ「みんなでいっしょ?よかったぁ」

 

マヤ「チノ!わたしたちだけ別に諜報活動しない?」

 

チノ「えっ、ええ……!?」

 

リゼ「そこ!上官の命令に背くな!」

 

マヤ「ちぇー」

 

 

青山『えー、ただいまよりカルタ争奪戦を開始したいと思います』

 

 

リゼ「青山さん!?」

 

チノ「今回は読み手ですか……」

 

マヤ「はやく!青ブルマ!」

 

 

青山『最初のカルタは……千夜さんの「ヤ」です』

 

 

リゼ「なにも読まないのかよ!?」

 

ここあ「『ヤ』だって、さがそう♪」

 

使用人(もはやカルタじゃない……」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

マヤ「見つからないね~」

 

使用人「ノーヒントですから」

 

リゼ「チノ、マークしたカードは?」

 

チノ「えっと……まだ4枚です」

 

リゼ「親父のことだ、やはりメイドに無茶言ってへんなところに隠したに違いない」

 

ここあ「ものおきのなかとか?」

 

リゼ「ああ、もしくは天井裏とか――」

 

 

青山『ただいま「ヤ」のカルタ、Bチームが発見しました』

 

 

全「!?」

 

リゼ「くっ、先を越されたか……!」

 

チノ「どこにあったんでしょう?」

 

 

青山『ちなみに隠し場所は……最上階の展望台から紐でぶら下がっていました』

 

 

リゼ「分かるかっ!!」

 

ここあ「どうやってとったのかな?」

 

マヤ「レスキュー隊みたいに縄につかまったんじゃね?」

 

使用人「向こうは人間離れした大人が2人もいますからね」

 

チノ(父まで!?)

 

 

青山『次のカルタは……チノさんの「ノ」です』

 

 

 

――

――――

――――――

 

 

リゼ「まだ5枚か」

 

使用人「向こうは9枚……劣勢ですね」

 

マヤ「そろそろ手分けして探したほうがよくない?」

 

ここあ「ちのちゃん、なにかいてるの?」

 

チノ「マークしたカードの場所です。今はまだ数で負けているかもしれませんが、あとから有利になりますよ」

 

リゼ「その通りだ、これこそが逆転勝利の秘訣――んっ?」

 

リゼ「ちょっと待ってくれ、このドア……」ガチャッ

 

使用人「お嬢、この部屋はずっと鍵が壊れていて開きませんよ?」

 

リゼ「わかってる、だが良く見てみろ」

 

ここあ「どあのぶがあたらしくなってる!このまえまではきんいろだったよ?」

 

リゼ「よくわかったな、おりこうだ」ナデナデ

 

ここあ「えへへ♪」ニヘラ

 

チノ「誰かが一旦はずして付け替えたということでしょうか」

 

マヤ「ってことは隠し場所!?もしかしたらボーナスエリアかも!」

 

リゼ「おい、頼めるか?」

 

使用人「……」スッ

 

使用人「……こりゃダメですね、ティンプルキーです」

 

ここあ「てぃんぷるきー?」

 

チノ「無理やりあけられない鍵のことです」

 

マヤ「黒服ピッキングできるの!?」

 

チノ「そんなことできるなんて……まさか本当に」ブルブル

 

ここあ「ゆうしゃさん、しょうたいはどろぼう?」

 

使用人「ひでぇ誤解だ!これはあくまでお嬢の身に何かあったときのための――」

 

リゼ「よし、下がっていろ」スッ

 

使用人「へ?」

 

リゼ「ここあ、チノ、マヤ、離れていろよ」

 

全「?」

 

リゼ「っ!」チャキ

 

 

ドガッドガッドガッ! バキッ!

 

 

使用人「お嬢!?」

 

リゼ「開いたな」

 

チノ「ドアが……」

 

マヤ「すげぇリゼ!かっこいい!!」

 

ここあ「りぜちゃん、こわしてよかったの?」

 

リゼ「なんでもありだからな、たぶん大丈夫だろう」

 

チノ「あっ、ありました!『ア』のかるたです」

 

マヤ「やったじゃん!ビンゴ!」

 

リゼ「これで6枚目か」

 

使用人「こちらAチーム、『ア』のかるた発見……――あっ」

 

タカヒロ「どうやら一足遅かったようだね」

 

千夜「あらっ、残念」

 

チノ「お父さん、千夜さん…――チェーンソー!?」

 

千夜「これで真っ二つにしようかと思ってたのに、リゼちゃんがいるのを忘れてたわ」

 

リゼ「ふっ、甘かったな」

 

マヤ「壊すのはいいんだ!?」

 

使用人(本気のデスマッチになってる……)

 

リゼ「勝負はここからだぞ」

 

千夜「望むところよ、今頃リゼちゃんのお父さんとシャロちゃんとメグちゃんが――」

 

 

青山『次のカルタは……シャロさんの「シ」です』

 

 

タカヒロ「作戦通りだね」

 

チノ「えっ?」

 

 

青山『ただいま読み上げたカルタ、Bチームが発見しました』

 

 

全「!」

 

使用人「なるほど……比較的簡単に取れる場所にあるカルタにはあらかじめ人を設置しておく作戦ですか」

 

タカヒロ「アンブッシュは戦闘において基本だよ」

 

チノ「戦闘ではなくカルタです……」

 

千夜「これで10枚目ね」

 

タカヒロ「このままいけば、勝利は頂きだね」キラン

 

 

 

マヤ「リゼどうする?このままだとヤバくね?」

 

リゼ「よし……作戦変更だ!」

 

リゼ「ここからは二手に分かれて捜索を開始する!」

 

マヤ「待ってました!チノ、わたしたちの出番だね!」

 

チノ「えっ!?」

 

リゼ「お前たち二人は引き続き諜報活動を続けろ!怪しいところがあったらどんどん調べてこい!その代わり無茶はするな!」

 

マヤ「イエッサー!」ビシッ

 

チノ「あの、マヤさん、くれぐれも危ないところだけは……」オロオロ

 

使用人「我々は山を張りますか?」

 

リゼ「そうだな、山を張りつつこの辺一帯を捜索するとしよう」

 

ここあ「ちのちゃんまやちゃん!またね!」

 

マヤ「よーし!いくぞチノー!」タタタ

 

チノ「引っ張らないでください!ここあさん、このメモを……!」スッ

 

ここあ「んっ。りぜちゃん、はい」

 

リゼ「チノ、発見しだい無線で報告してくれ」

 

チノ「はい――!」タタタ

 

 

青山『次のカルタは……タカヒロさんの「タ」です』

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

――チノ&マヤ Side――

 

マヤ「この辺には無いみたいだね」キョロキョロ

 

チノ「うぅ、寒いです……」ブルブル

 

マヤ「見てチノ!あんなところに射撃場があるよ!」

 

チノ「確かにこの辺りはまだ捜索していませんね」

 

マヤ「もしかして的にカードが貼り付けてあったりして!」

 

チノ「まさかそんなこと――」

 

ヒョコ

 

マヤ&チノ「あった!?それも『タ』のカード!」

 

マヤ「やったじゃん!さっそく頂き!」

 

――ボンッ!

 

チノ「マヤさん!?」

 

メグ「マヤちゃんごめんね!シャロさん、はやく!」

 

シャロ「こんなのカルタじゃない!」タタタ

 

マヤ「げほっごほっ!メグとシャロ!?」

 

シャロ「ゲット!『タ』のカルタ、ゲットしたわ!」

 

 

青山『「タ」のカルタ、ただいまBチームが発見しました』

 

 

シャロ「ごめんねマヤちゃん、大丈夫?」

 

メグ「二人をマークしてカルタを見つけたらこれを投げろって言われて……」

 

チノ「尾行ですか……まさかつけられていたなんて」

 

マヤ「うぅ~シャロ!メグ!卑怯だぞ~!」

 

メグ「ほんとにごめんね、まさかスモーク弾なんて」

 

シャロ「わたしたちもリゼ先輩のお父さんに言われただけなの」

 

チノ「リゼさんのお父さん、カルタの意味分かってるんでしょうか……」

 

 

マヤ「こちらマヤ。リゼ、敵の作戦にやられたよ!」ムセン

 

チノ「ただいま射撃場でメグさんとシャロさんに遭遇、引き続きカードを発見しだいお伝えしますので」ムセン

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

――ここあ&リゼ&使用人 Side――

 

 

リゼ「どうやら親父の作戦にやられたらしい」

 

使用人「ストーキングですか、手加減無しですね」

 

リゼ「しかもスモークグレネードまで投げてきたそうだ」

 

ここあ「すもーくぐれねいど?」

 

使用人「どこまで本気なんでしょう……」

 

リゼ「素人相手にそこまでする根性が気に食わん、この勝負負けるわけにはいかないな」

 

使用人「次は確か『イ』ですよね」

 

リゼ「全部で47枚だから、あと5枚か……」

 

使用人「こちらは19枚、向こうは23枚、あと1枚でも取られたらアウトですね」

 

リゼ「しかしチノのおかげである程度ターゲットは絞られてきた。食堂の空鍋の中に1枚、わたしの部屋に1枚、あとの3枚は不明……だが」

 

使用人「ええ、この全体図を見る限り明らかにこの辺から発見されたカードが少ない……間違いないと思います」

 

リゼ「全部ロックされてるな。弾はあと4発、さすがに全て壊すのは無理か」

 

リゼ「お前、背伸びすればあそこの窓に届いたりしないか?」

 

使用人「どうでしょう……」

 

 

使用人「うっ……申し訳ありませんお嬢、あと10センチほど」

 

リゼ「困ったな……時間ロスだが脚立でも持ってくるか」

 

ここあ「りぜちゃんだいじょうぶ!わたしにまかせて!」ピョンピョン

 

リゼ「ここあが?」

 

ここあ「ゆうしゃさん、たかいたかいして」

 

使用人「なるほど……!確かにそれなら届きそうですね」

 

リゼ「ここあ、大丈夫か?怖くないか?」

 

ここあ「わたしにまかせなさい!」エッヘン

 

使用人「」チラッ

 

リゼ「」コクリ

 

使用人「では失礼して……」ヒョイ

 

ここあ「わぁ……たかいね!おそらとんでるみたい!」

 

リゼ「どうだ、なにかあるか?」

 

ここあ「ん~……なにもないよ?」

 

リゼ「そうか、なら次の部屋だ」

 

ここあ「ゆうしゃさんおもくない?」

 

使用人「ええ、軽いですから心配なさらず」

 

 

 

リゼ「次はここだ」

 

使用人「たかいたかーい」ヒョイ

 

ここあ「♪」キャッキャッ

 

リゼ「よし、わたしにもやらせろ」

 

使用人「お嬢がやっても届きませんよ!?」

 

リゼ「わたしもここあをたかいたかいしたい」

 

使用人「グズグズしてたら相手チームに感づかれます、抑えてください」

 

リゼ「くっ……」

 

ここあ「ん~……あっ、カードあったよ!」

 

リゼ「!」

 

使用人「やりましたね、お嬢!」

 

リゼ「ここあをそっちに、離れていろ」

 

リゼ「ふっ!」チャキ

 

 

ドガッドガッドガッドガッ! ガチャッ!

 

 

リゼ「弾切れか……」カチッカチッ

 

ここあ「ゆうしゃさん、これなに?」

 

使用人「これは……『イ』です、やりましたね」ナデナデ

 

ここあ「みんなにほうこくしなきゃ♪」

 

ここあ「ここあだよ、『イ』のかーどみつけたよ~!」ムセン

 

 

青山『「イ」のカルタ、ただいまAチームが発見しました』

 

 

チノ『ここあさん、やりましたね』

 

マヤ『あとは屋敷内のどこかだと思う、わたしたちもすぐいくね!』

 

 

青山『次のカルタは……リゼさんの「リ」です』

 

 

使用人&リゼ「!」

 

使用人「お嬢!」

 

リゼ「分かってる!」

 

ここあ「あっ、りぜちゃんまって~」タタタ

 

 

 

リゼ(これさえ取れば後はランダムで2枚、確定で1枚……勝機はある!)タタタ

 

メグ「リゼさんだ!」

 

シャロ「先輩、早い……!」

 

リゼ「すまないな、メグ、シャロ!」

 

ガチャッ

 

リゼ「もらった!」

 

リゼ父「甘いぞリゼ!」ガバッ

 

リゼ「!?」

 

リゼ父「ふっ!」パシッ

 

リゼ「あっ!」

 

リゼ父「ふっ、こんなこともあろうかと山を張っていたんだ」

 

リゼ「」

 

リゼ父「こちら24枚目入手した、俺たちの勝利だ!」

 

 

青山『ただいまゲーム終了です、勝者は――Bチームです。おめでとうございます♪』

 

 

リゼ父「まぁ、俺に勝つには10年早かったということだ、リゼ」ドヤッ

 

リゼ「………………」

 

リゼ父「さて、そろそろ3時だしみんなで遅めの昼食でも食べるか。8段重ねのおせちを用意してあ――」

 

リゼ「待て親父」ガシッ

 

リゼ父「ん?」

 

リゼ「…………」ニコニコ

 

リゼ父「ど、どうしたんだリゼ、なにか怖いぞ……?」

 

リゼ「さっき山を張っていたと言ってたな?ずっとどこに隠れてたんだ?」

 

リゼ父「どこって――ハッ!

 

リゼ「やっぱりそうなのか……」ニコニコ

 

リゼ父「違うぞリゼ!確かに良い匂いはしたが別にそれが目的だったわけじゃあ――」ダラダラ

 

リゼ「ベッドの中でわたしやここあの残り香をずっとクンクンしてたわけか……」チャキ

 

リゼ父「護身用の俺のトカレフ!?いつのまに!?」

 

リゼ「わたしだけでなく……ここあを汚した罪を償え!」ドガッドガッ!

 

リゼ父「それ実弾だ!落ち着けリゼっ!?」

 

リゼ「すばしっこい!」ドガッドガッドガッ!

 

リゼ父「タカヒローっ!!」

 

クタバレコイツ! カスッタ!イマカスッタゾ!?

 

チノ「あの……助けにいったほうが」

 

タカヒロ「あれは自業自得さ、心配いらないよ」キラン

 

使用人「まさかお嬢のベッドの中で待ち伏せするとは……」

 

千夜「相変わらずお茶目ですね、リゼちゃんのお父さん」ニコッ

 

シャロ「そういう問題!?」

 

マヤ「メグ、さっきのスモーク弾って余ってる?ちょうだい!」

 

メグ「いいよ~、はい」

 

ここあ「りぜちゃんおとうさん、けんかしちゃだめ!」タタタ

 

チノ「あ、ここあさん……!」

 

 

――

――――

――――――

 

―――――――――――――――――――

 

 

――PM10時――

 

 

リゼ「まったく、親父のやつめ」

 

ここあ「あたらしい『しーつ』もふもふだね」ピョンピョン

 

リゼ「さて……ここあ、そろそろ寝るか」

 

ここあ「うん!」

 

リゼ「………………」

 

リゼ「――よっと」ヒョイ

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

リゼ「たかいたかーい」

 

ここあ「りぜちゃんどうしたの?」

 

リゼ「お昼にあいつがやってたからな、わたしもやりたくなった」

 

ここあ「そっか」ニコッ

 

リゼ「たかいたかーい」

 

ここあ「みてみて、りぜちゃんよりおっきいよ」

 

リゼ「ああ、親父よりも大きいぞ」

 

リゼ「たかいたかーい」

 

ここあ「♪」キャッキャッ

 

リゼ「ふふっ、楽しいか?」

 

ここあ「うん!でも……」

 

リゼ「んっ……?」スッ

 

 

――ギュッ

 

 

リゼ「!」

 

ここあ「こうしてりぜちゃんに、だきしめてもらうほうがすき」ニヘラ

 

リゼ「……!」

 

リゼ「ここあ……ここあぁー!」ギュッ

 

ここあ「わわっ」

 

リゼ「今度は絶対に勝とうな!親父なんて二人でひねり潰してやろう!」スリスリ

 

ここあ「またらいねんもみんなでしようね」

 

リゼ「ここあがやりたいならいつでもいいぞ」

 

ここあ「りぜちゃん――これ」スッ

 

リゼ「ん?」

 

ここあ「2ばんめのおねがい、かいて♪」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

――ラビットハウス 深夜――

 

 

リゼ父「………………」

 

タカヒロ「………………」

 

リゼ父「少し、大人げ無かったか?」

 

タカヒロ「いつものことだろう」フッ

 

リゼ父「どういう意味だ?」

 

タカヒロ「いいさ……ああいうお祭りは真剣にやったほうが盛り上がる」

 

タカヒロ「手を抜いたりしたら、それこそみんなに失礼だろう?」

 

リゼ父「……まぁな」

 

タカヒロ「だが、スーモクグレネードはやりすぎだな」

 

リゼ父「ああいうのがあったほうが盛り上がるだろ?」

 

タカヒロ「………………」

 

リゼ父「………………」

 

リゼ父「もういっぱい追加だ」

 

タカヒロ「…………」トクトク

 

リゼ父「…………」

 

タカヒロ「優勝チームにはお年玉、か」

 

リゼ父「結局、みんなに配ったけどな」

 

タカヒロ「お前らしいな」フッ

 

リゼ父「なんだ、お前も欲しかったか?」

 

タカヒロ「お金以外なら、考えたかもな」

 

リゼ父「…………ほら」スッ

 

タカヒロ「……ワインか」

 

リゼ父「俺からのお年玉だ」

 

タカヒロ「…………」スッ

 

リゼ父「……ウォッカ」

 

タカヒロ「お年玉交換だ」

 

リゼ父「……ふっ」

 

タカヒロ「今年もここあくんやみんなのこと、よろしく頼む」

 

リゼ父「頼まれなくていい、あの子は俺の娘だからな」トクトク

 

タカヒロ「……まぁ、今日くらいはそれでいいだろう」トクトク

 

タカヒロ&リゼ父「――乾杯」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

トントン

 

使用人「お嬢、明日の初詣ですが――」ガチャッ

 

リゼ「…………」Zzz

 

ここあ「すぅ……すぅ……」Zzz

 

使用人(熟睡されてる……今日はずいぶんとはしゃいでいたし、無理もないか)

 

使用人「んっ……これは……?」スッ

 

使用人「……!」

 

使用人「………………」

 

ここあ「んっ…………」Zzz

 

使用人「ご安心ください……叶いますよ、必ず」フッ

 

ガチャッ バタン

 

ここあ「ぇへへ…………」Zzz

 

 

カード『リゼちゃんと、みんなと、ずっとずっと一緒にいたい』

 

 

――おしまい♪

感想

  1. 出遅系難民 より:

    こういうホッコリはいいですな。最後、ここあちゃんマジ天使。ここまで純真無垢な子この世に存在しないんじゃないかと。
    屋敷丸々使ったカルタ、やってみたいですね(笑)
    チェーンソー千夜ちゃん…ゴクリ

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      このシリーズは描いているだけで私自身心が癒されます。
      次のイベントでは、千夜ちゃんは味方側にしてあげたいと思います。

  2. 匿名 より:

    執筆、お疲れ様でした(*’▽’)
    他のシリーズの投稿も楽しみにしています!!!

  3. Beyond the Average より:

    私は幼い頃に「みんなとずっと一緒にいたい」と思ったことがなかったのですが、家族も友達もみんなの存在が自分にとって当たり前だったからなんだと思います。
    つまり言いたいのは、ここあはこの毎日が『当たり前ではない』と悟っているのではないのか?ということです。
    実際、私は高校に入学して中学までの友達に会う機会がほぼ無くなり、『あの日々は当たり前に続くのは思い込みだった』と気付いたとき、「ずっと一緒にいたい(いたかった)」と強く思いました。

    まさか使用人の最後のセリフはフラグ…?ここあのこれからの展開が気になります!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      興味深いご考察、ありがとうございます。
      おっしゃいます通り、ここあちゃんは自分の存在がイレギュラーであることを理解しています。
      これは続編の『ここあさんと花火大会 リゼEND』でも触れていますね。
      自分がいつ消えてもおかしくない。そんな危うい均等の中、ここあちゃんはみんなとの『今』を楽しみ、そしてリゼちゃんやみんなに笑顔を向けているのでしょう。
      ここあちゃんの日常は、永遠に続くのか、はたまたいつかは終わりが訪れるのか……今後の続編にご期待ください。

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