ごちうさSS ヤンデレリゼとここあ TRUEエンド:『心愛』

 

ここあ「……りぜちゃん」

 

 

ここあ「――おやすみなさい」ナデナデ

 

リゼ「……!」

 

ここあ「め、つむって?」

 

リゼ「……ここあ」

 

ここあ「ねっ…?」

 

リゼ「…………」スッ

 

ここあ「りぜちゃん……いまはなにもかもわすれて、ねむろう」

 

ここあ「そうすれば、またわらえるようになるから……」

 

リゼ「…………」グスッ

 

ここあ「よしよし……たくさんなやんで、つかれたね……」ナデナデ

 

ここあ「わたしのために……ありがとう、りぜちゃん」

 

リゼ「…………」ポロポロ

 

ここあ「わたしが、こもりうたをうたってあげる」ニコッ

 

ここあ「……こころぴょんぴょんまち、かんがえるふりして……――♪」

 

 

 

 

リゼ「………………」Zzz

 

ここあ「…………」クスッ

 

ここあ「わいるどぎーす?りぜちゃんのこと、おねがい」

 

ここあ「りぜちゃん、さみしがりやさんだから……ちゃんとそばにいてあげてね」

 

ここあ「……」スッ

 

 

 

ここあ「たしか、ここをおして……」ピッ

 

ここあ「……………………」prrrrrr

 

ここあ「……ちのちゃん?」

 

ここあ「うん、わたしだよ」

 

ここあ「……だいじょうぶ」

 

ここあ「あのね……ちのちゃんにおねがいがあるの」

 

ここあ「――――――」

 

ここあ「うん……ありがとう、まってるね」ピッ

 

ここあ「…………」

 

ここあ「……りぜちゃん」ギュッ

 

ここあ「ごめんね……ほんとは、ずっといっしょにいたかったよ」

 

ここあ「わたしもりぜちゃんのこと、ひとりじめしたかった……」

 

ここあ「……ん」チュッ

 

リゼ「……ここあ」Zzz

 

ここあ「……」ニコッ

 

ここあ「ちのちゃんのところに―――らびっとはうすに、もどるね」

 

ここあ「さようなら……」

 

ここあ「りぜちゃん……すき」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

――

――――

――――――

 

 

……………………。

 

 

愛しているはずが、壊して。

 

 

……………………。

 

 

そばにいたいはずが、離れて。

 

 

……………………。

 

 

抱きしめるはずが、傷つけて。

 

 

……………………。

 

 

不純な生き物である人間に、「純粋な人間」などという矛盾が存在しないように。

 

 

矛盾しない愛憎なんて、都合の良いものはこの世に無い。

 

 

……今のわたしには、それがやっと分かるよ。

 

 

なぁ――ここあ。

 

 

――――――

――――

――

 

 

――2週間後 AM7:00――

 

千夜「…………」スタスタ

 

千夜「………………」

 

――トントン

 

千夜「リゼちゃん」

 

リゼ「……千夜か」

 

千夜「おはよう、昨日は良く眠れた?

 

リゼ「………………」

 

千夜「そう……無理も無いわ」

 

千夜「今日はいい天気よ。昨日よりずっと温かい」

 

リゼ「……そうか」

 

千夜「……そこからだと、分からないわよね」

 

リゼ「ん……小さいけど窓くらいはあるぞ。いい天気なのは分かるよ」

 

千夜「…………」

 

リゼ「毎日、すまないな」

 

千夜「ううん、リゼちゃんのためだもの」

 

リゼ「……千夜」

 

千夜「言ったでしょ、どんなに風になってもリゼちゃんはリゼちゃん。わたしは、リゼちゃんのこと大切だって」

 

リゼ「…………」

 

千夜「早く帰ってきてね……ずっと待ってるから」

 

リゼ「……ああ」

 

千夜「リゼちゃん……――はい」スッ

 

リゼ「!」

 

千夜「ハンカチ……涙、ちゃんと拭いて」

 

千夜「リゼちゃんがその部屋から出られたら、返しに来てね」

 

リゼ「…………」

 

千夜「それじゃあ、また明日来るわ」

 

リゼ「……千夜」

 

千夜「?」

 

リゼ「ありがとう……ごめん……」

 

千夜「……」クスッ

 

千夜「リゼちゃん……頑張って」

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

――PM4:00――

 

シャロ「…………」

 

――トントン

 

シャロ「リゼ先輩……起きてますか?」

 

リゼ「ん……シャロか」

 

シャロ「こんにちは……いま、少しお時間いいですか?」

 

リゼ「ああ、やることも無くて暇してたところだ」

 

シャロ「……これ、学校のプリントです」スッ

 

リゼ「ありがとう、いつもすまないな」

 

シャロ「あとこれ、クッキーですけどよければ……」

 

リゼ「シャロが焼いたのか?」

 

シャロ「はい……えっと、いちおう、その」

 

リゼ「……ココア味、か」クスッ

 

シャロ「っ……すいません、嫌な思いをさせたんじゃあ……」

 

リゼ「そんなことない、嬉しいよ。……食べてみてもいいか?」

 

シャロ「は、はい、美味しくないかもしれませんけど……」

 

リゼ「…………」モグモグ

 

シャロ「…………」

 

リゼ「おいしい、ちゃんとココアの味がする」

 

シャロ「」ホッ

 

リゼ「ありがとうシャロ、おかげで元気が出たよ」

 

シャロ「いえ……」

 

リゼ「…………………」

 

シャロ「……っ」

 

シャロ「……リゼ先輩、その」

 

リゼ「?」

 

シャロ「……ここあのこと、悪く思わないであげてくださいね?」

 

シャロ「ここあは、リゼ先輩やわたしたちのことを思って……」

 

リゼ「分かってるよ」

 

リゼ「ここあのこと、これっぽっちも恨んでいないさ」

 

 

リゼ「……むしろ」

 

 

リゼ「ここを出られたら、一番に感謝の気持ちを伝えて……そして、ちゃんと謝りたい」

 

リゼ「――お前のお願いを……最後まで聞いてあげられなくてごめんって」

 

シャロ「お願い……?」

 

リゼ「いや、なんでもない……忘れてくれ」

 

リゼ「……今日は、いい天気らしいな」

 

リゼ「ラビットハウス……賑わってるといいけど」

 

シャロ「リゼ先輩…………」

 

リゼ「早く、元に戻りたいな……」

 

シャロ「大丈夫です、すぐに戻れますよ」

 

シャロ「ラビットハウスも……ここあも、わたしたちも、みんなリゼ先輩のこと待ってますから」

 

シャロ「早く直して……また、みんなでどこか行きましょうね」

 

リゼ「…………ああ」

 

リゼ「千夜……さっそく役に立ったよ、これ」フキフキ

 

シャロ「先輩……?」

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

チノ「リゼさん、こんばんは」

 

リゼ「チノ……今日も来てくれたのか」

 

チノ「リゼさんにお話したいこと、たくさんありますから」

 

リゼ「くすっ、いつもの報告か?」

 

チノ「はい、それと……」

 

チノ「……いえ、なんでもないです」

 

リゼ「……?」

 

チノ「今日はお客さんが多くて大変でした、ここあさんと二人でどうにか乗り切れましたが」

 

リゼ「……そうか」

 

チノ「お店のためにも、ここあさんのためにも、お願いします、リゼさん」

 

リゼ「ああ……」

 

リゼ「――必ず、ラビットハウスに戻るよ」

 

チノ「……約束ですよ」

 

リゼ「……チノ?」

 

リゼ「遅くなったけど、言わせてくれ」

 

 

リゼ「……ごめん、それと、ありがとう」

 

 

チノ「!」

 

リゼ「あの時、チノのところに……ラビットハウスにたどり着いたのは、きっと偶然なんかじゃなかったんだ」

 

リゼ「わたしはお前に……助けを求めていたんだと思う」

 

リゼ「千夜とシャロを自分で突き放しておきながら、離れられるのが怖くて……残ったお前にすがったんだろうな」

 

リゼ「まだ引き返せる可能性がほしくて……心の中で、必死に手を伸ばしていたんだ」

 

リゼ「お前の手があんなに暖かったのも、きっと……」

 

チノ「………………」

 

リゼ「なぁチノ?」

 

リゼ「――もう一度、握らせてもらってもいいか?」

 

チノ「はい……もちろんです」

 

――スッ

 

リゼ「……」ギュッ

 

チノ「……どうですか?」

 

リゼ「あったかいな……あの時と同じだ」

 

リゼ「例え手だけでも、チノのぬくもりが伝わってくるよ」

 

リゼ「ふふっ……ありがとう、チノ」

 

チノ「……」ギュッ

 

チノ「リゼさん……指切りしましょう」

 

リゼ「えっ?」

 

チノ「指きりです、小指、絡めてください」

 

リゼ「……」スッ

 

チノ「指きりげんまん……優しいリゼさんが、これからもずっと一緒にいてくださいますように」

 

リゼ「!」

 

チノ「約束しましたよ、嘘ついたら針千本です」クスッ

 

リゼ「……チノ」

 

チノ「そろそろ帰りますね……――あ、最後にわたしも、遅くなりましたけど……」

 

 

チノ「リゼさん……おかえりなさい」

 

 

リゼ「……!」

 

 

チノ「今度は、ラビットハウスで待ってます」

 

チノ「また明日……おやすみなさい、リゼさん」

 

リゼ「…………」

 

 

――

――――

――――――

 

 

…………………………。

 

 

あの日。

 

深い忘却から目覚めると、そこは見慣れた部屋とは似ても似つかない白い空間だった。

 

まるで様式美を頑なまでに意識したような殺風景の中、まず最初に感じたのは病院特有の消毒液の匂いだ。

 

泥酔していたわけでもなく就寝を決めた場所が記憶と違えば、常人であれば戸惑い、現実、もしくは記憶を疑うのが妥当だろう。

 

だが、わたしの場合現実を現実として受け入れるのにそれほどの時間は要さなかった

 

 

――抱きしめていたはずの、ここあがいなくなっていた。

 

 

ただそれだけの事実が、目の前の現実を理解するための判断材料としては十分だったのだ。

 

医師や使用人たちは大方わたしが発狂するとでも踏んでいたのだろうか、訝しげにこちらを見つめる視線だけが印象に残っている。

 

その後、神経科の医師からやはりというべきか黒の診断書を出されたが、幸いにもなんとか入院だけは免れることができた。

 

できることなら自宅療養を望んでいたわたしの気持ちを察してくれたのか、聞くところによるとどうやらここあと仲良しの使用人が担当医師に口を利いてくれたらしい。

 

不幸中の幸い……といえば、聞こえは良いが。

だが、わたしに与えられたのは自宅療養とは名ばかりの、ある意味では入院よりずっと辛い責務だった。

 

精神的病とは軽重問わず、『時間が自然と心を癒す』以外に明確な治療法などこの世には無いのは周知の事実だ。

しかし、どうやらわたしの場合はそんな生易しいものではないらしい。

 

 

リゼ「……もう、そろそろ夜か」

 

リゼ「………………」

 

 

現実世界とは切り分けられた、最低限の生活用品以外は何も無い虚無空間。

 

これが、正常と呼ばれる線引きを越えてしまったわたしに課せられた、罰だ。

 

ここは間違いなくわたしの生まれた場所で、わたしの自宅で。

 

今も変わらず心休まる場所であり、そして、ここあと生活を共にしてきた現実の地続きだ。

 

……でも。

 

 

リゼ「…………」

 

 

わたしのために造られたこの部屋はまるで、この一貫の出来事が全て空想であったと言わんばかりに正当なる純白を押し付けてくる。

 

当然だ、正気に戻すというのがこの精神的病の解決法だとするなら、狂気にまみれていた記憶は全て取り除かなければならない。

 

一度狂気の境に踏み込んだ、あるいは踏み越えてしまった人間は、もう二度と表の現実で心の底から笑うことは許されないからだ。

 

しかし、そんな思惑を受け入れこの責務を全うするわけには断じていかない。

 

ここあ、チノ、千夜、シャロ……わたしの大切な人たちがくれた『優しさ』や『思いやり』を、そう易々と投げ捨てられるはずが無い。

 

例え不見識に思われようとも、この記憶を消し去るわけにはいかないのだ。

 

人間というのは、必ずしも良い記憶だけがその人を立派に成長させるとは限らないのだから……。

 

 

リゼ「……今日は、パスタか」

 

 

味覚、聴覚、視覚、感覚の確たる刺激。

生きていることを、何の疑いもなく生きていると思える。

現実を、現実と認識できる。

そんなごく当たり前な事実に、いまは心から感謝できる。

 

 

――

――――

――――――

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

その夜。

突然訪れた来訪者の気配を、わたしはなぜか自然と察することが出来た。

 

虫の知らせなどという言葉で片付けられるものではなく、これは――――そう、適切な言葉で言い表すとするなら、たぶん『繋がり』だ。

 

 

リゼ「……ここあか?」

 

 

声をかける前に突然名前を呼ばれたせいか、ビクリと身体をすくませる気配が伝わる。

 

 

ここあ「……りぜちゃん」

 

 

白い壁に隔たれた向こう側の世界から、聞き慣れたのになにか懐かしい、ここあの声が届く。

 

たった2週間ぶり程度にも関わらず幾星霜の時を経て再会したような、そんな錯覚さえ思わせる。

 

 

リゼ「会いに来てくれたのか」

 

 

たわいもない会話の切り出しのあと、どれほどの沈黙が続いただろうか。

それは5分だったのかもしれないし、実際は5秒だったのかもしれない。

だがわたしの言葉が知らぬうちにここあを傷つけてしまったのかと、不安に駆られる暇さえあった。

 

 

ここあ「りぜちゃん……ごめんなさい」

 

 

静寂を壊して返ってきたのは――わたしに向けられた、謝罪の言葉。

 

それには、どんな意味合いが込められていたのだろう。

齢6歳にも満たないであろう彼女の中で、どんな思量を通じて吐き出された気持ちだったのだろう。

 

わたしは、所詮わたしの知ることしか知らない。

考えることはできても、ここあの気持ちになることは到底できない。

だからこそ――自分なりの精一杯の気持ちを、声に乗せて返す。

 

 

リゼ「ここあ、ありがとう。……わたしのほうこそ、ごめん」

 

 

わたしがここあに伝えたい、全てだった。

 

 

わたしは、誰よりお前を愛して、お前に愛されたかった。

でもそれと同じくらい、お前との関係が、みんなとの関係が変わってしまうことを心のどこかで恐れていたのだろう。

 

だからお前と肉体で愛しあうこともできず、そのくせ人一倍強い特別な繋がりが欲しくて……あろうことかお前に、暴力を振るってしまった。

 

狂っているという一言で片づけるのであれば、それまでかもしれない。

 

だが、少なくともわたしはお前を愛していたということに関しては、他の誰にも劣らない確かな自負があるのだ。

この気持ちだけは、誰にも負けてはいない。

 

――もし。

 

肉体関係以上に、恋愛倫理における概念で強固な繋がりがあったとしたら。

 

抱きしめる以上に、お前を汚す以上に、愛することができていたとしたら。

 

わたしは、お前を傷つけずに済んだのかもしれない。

 

しかし悲しいかな、人知に収まる範疇では。

人の英知で栄えた科学文明の力を持ってしても今なお、そんな繋がりはこの世の歴史にすら見つかっていない。

 

これが……『ごめん』だ。

 

 

リゼ「お前は……本気でわたしなんかのことを、愛してくれていたんだな」

 

ここあ「……!」

 

 

正常という枠を外れていた、あの時。

ここあは、わたしを受け入れてくれた。

 

逃げ出せたのに。

否定することだってできたのに。

 

ここあはそのどちらをも拒み、受け入れることを選んでくれたのだ。

 

悲しませないために、常識や現実を否定してもなお。

わたしが狂っていないと、庇い、信じてくれた。

 

 

お前は、わたしなんかよりずっと強かった。

わたしのために全てを投げうつ覚悟も、できていたに違いない。

 

 

もしあの時……わたしが涙なんて流さなかったら。

きっとお前はわたしと共に、最後まで堕ちることを躊躇なく選んだことだろう。

 

ここあは、わたしが全てを投げうつ覚悟がないことを、察してくれたのだ。

だから、側から離れた。わたしのために。

 

ここあの『ごめん』は、きっと。

 

あまりに優しい故に、わたしが狂気に染まることを止められなかった。

あまりに愛する故に、全てを受け入れて一緒にいてくれた。

あまりに慈しむ故に、最後はわたしの側を離れた。

 

その意味合いを全部込めた上での、謝罪だったのではないだろうか。

 

結局、踏み越えてしまったのも、その先に踏みとどまり続けることが出来なかったのも、全てはわたしの意気地なしがたたったせいだ。

わたしはあまりに身勝手で、それでいて臆病すぎた。

なにもかもが、中途半端だったのだ。

 

……………………。

 

――しかし。

 

リゼ「ここあ……手、かしてくれないか?」

 

ここあ「て……?」

 

リゼ「ああ」

 

 

先ほどの気持ちが嘘偽りで無いことくらい、こんなわたしでも伝える資格があってもいい。

 

 

 

わたしの生きる現実と――ここあの生きる現実を繋ぐ、小さな隙間。

そこから差し出された小さな手は、今まで何度もわたしがすがってきたものに間違いなかった。

 

暖かくて――尊い、ここあの手。

冷えきった両手を――迷うことなく、重ねた。

 

 

リゼ「ここあ……愛してるぞ」

 

 

むせび泣くような嗚咽が、すぐに響いた。

その涙の真意は、その後ここあの紡いだ言葉が答えだろう。

 

 

ここあ「りぜちゃん……また、むかえにきてくれる?」

 

リゼ「ああ」

 

ここあ「またりぜちゃんと、いっしょにいていい?」

 

リゼ「いっしょにいてくれ。お前は……わたしの大切な家族なんだから」

 

ここあ「――!……りぜちゃん」ポロポロ

 

リゼ「……」ニコッ

 

ここあ「はやく……グスッ、はやくかえってきてね」ポロポロ

 

ここあ「約束だよ」ポロポロ

 

リゼ「ああ……」

 

 

幸福は、いつだって。

動いている時間の中にしか存在しえない。

だから……いつかは、必ず。

その日は、訪れるから。

 

 

リゼ「いつもみたいに、おりこうにして待ってるんだぞ」

 

リゼ「なっ……ここあ」ニコッ

 

 

……………………。

…………。

……。

 

TRUEルート――END

 

BADルート

感想

  1. 名有り より:

    長期間の執筆お疲れ様です。
    …考えるに容易いことではありましたが、結局のところ、リゼを救うのも潰すのも、ここあちゃん次第でしかありませんでしたね。
    他の誰の言葉も通じず、受け入れなれない心境の中でも、ここあちゃんといるだけで全ての不安や苦しみが消える。…ここあちゃん自身もリゼちゃんが本当に愛しいことを信じられていなかったというのに。
    お互いに依存して、離れならないはずだった二人が、こうして一旦離れることが出来たことは、個人的にはありえないとしか思えませんでした。人間がそんなに強く清い生き物である筈がないと思っていましたので。だから、この結末は、あの5人の中でも一番素直で真っ直ぐだったここあちゃんだからこそ導くことが出来たのだと思います。でも、普段気持ちを表現するのが苦手なチノちゃんが、あんな行動に出るとも思えませんでした!本当に強い子に育っていっているのと、2人のことが大好きなことが、文書全体でよく伝わってきました。
    コラボでの執筆をしているとは知らず、ずっと更新がないままで砂水さんの身になにかあったのかと不安になりましたが、問題なさそうでなによりです!本当に長い間お疲れ様でした!

  2. 名有り より:

    それと、余計なことのようですみませんが、この作品を見ていた際に、クラシック音楽の「亡き王女のパヴァーヌ」が頭の中に思い浮かびました。砂水さんにも、是非この作品をご自身でも見て頂きながら聴いて頂けたら、と思います。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      名有りさんにここまでの評価を頂けるなんて……。
      良かったです、久々の地の文、一応作家の端くれ故にこのような哲学的なテーマの作品を褒められますと普段のSSより断然嬉しいものなのです。
      今回のテーマは『狂気と共依存』お楽しみいただけたようでなによりです。
      ここあちゃんがあまりに愛しいゆえに壊れて、またそれ故に救われる……狂気に見舞われたリゼちゃん視点で展開する本作でしたが、二人の依存関係にくさびを打ち込んでくれたのは他でもないチノちゃんでしたね。
      離れた二人がまた元通りになる時、全てがまた平和な日常に戻るよう、執筆者のわたしとしましてもそれを願うばかりです。
      少しでも狂気の一端の世界を感じて頂けたのであれば幸いです。
      実は、このような作品こそが砂水クシラが真に描きたいものだったりします。
      コラボレーション、大変でしたが大いに楽しませていただきました。

      (余談)
      亡き王女のパヴァーヌ、聴きましたよ!
      規約違反で無ければトゥルーエンドにバックで流したいほど相性ピッタリな名曲です。
      これを流しながらこのエンディングを読んでみると……執筆者ながらに涙がこぼれました。
      素敵なイメージをくださり、ありがとうございます。

  3. 出遅系難民 より:

    長編お疲れ様です。
    いつも通り小並感な感想しか送れませんが…
    またリゼちゃんが本当に幸せになってくれることを、心の底から笑ってくれることを、千夜ちゃん、シャロちゃん、チノちゃん、そしてここあちゃん。皆んな…願って、信じているんだなと。
    私は、そう感じました。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      短いながらも本作のカタルシスを全て汲み取っていただけたかのような素敵なご感想、とても嬉しいです。
      良かった……本作は読み終えた読者さんに、笑顔でもなく苦い顔でもなく、言葉では言い表せない何かを感じてとって頂けるよう描いた作品でしたので。
      いつもご愛読、感謝します。

  4. 黒TAKUMI より:

    やっぱりヤンデレは最高だぜ!
    良い作品を読ませていただきました!
    また次の作品を期待してます!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      いつもご愛読ありがとうございます。
      できることでしたらまたヤンデレを描きたいですね。
      今度も本作のような、ハッピーでもバッドでもないトゥルーエンドに辿り着く作品を描けると嬉しいです。

  5. はにすけ より:

    これほどの長編の執筆、本当にお疲れ様でした。
    一つ一つの出来後にとても見入って(或いは参って、時々気持ちを整理して)いました。

    リゼちゃんの耐え難い苦悩、リゼちゃんを信じて想い、行動するここあちゃんや
    みんなの優しさ、どれも惹かれました。

    思いが強すぎる故、常に不安感に駆られ、相手のどんな些細な行動も気になる、
    疑い深くなってしまう。相手の言葉を素直に受け取ったり、思いを考えたりする余裕が
    ない状態…。こうなると、相手との絶対的な繋がりを示す何らかの確固たる証を
    得ないとどうしようもない…その確証 = 他傷へと繋がってしまう…のでしょうか。
    愛情が憎しみに変わる、共存する、または感情が混在してわかなくなってしまう
    状態になると、傷つける行為を愛している行為と判別がつかなくなるのでしょうか。

    「肉体関係以上に、恋愛倫理における概念で強固な繋がりがあったとしたら。」
    という点がそうなのでしょうね。行為に表す以上のものを持ち得ないのかも。

    ここあちゃんと一緒にいたい、一緒いることで安らぎを得られる、だけど同時に
    不安も募り、一緒にいることで傷つけてしまう、それでもここあちゃんは優しさを
    返してくれる、そこからどんどん深みにはまっていく様子が辛かったです。

    この物語で特に気づかされたのが、「狂気」というものがただのレッテルでしかない
    ということ。ある多くの人が「正しい」としている枠組みが「正気」だとして、
    そこから外れた人が設ける枠組みを「狂気」と言っているに過ぎない。当人からすれば
    その枠組みは正気の他ならない。どの枠組みを自分の中に取り込む、あるいは作るか、
    それが本質的に持っている信念とか、言い表せない心の土台的なものなのでしょうね。

    リゼちゃんが、ふいにラビットハウスに戻ってきた時、本当に泣きそうになりました。
    リゼちゃん、まだどちらの枠組みも持っていたんだなと。そこからどちらに転ぶかの
    きっかけは、自分の信念に触れるような出来事、つまりチノちゃんやここあちゃんの
    行動なんですね。一度信念に立ち返って、そこから枠組みの再構築が始まる…自分の
    信念に触れる出来事の影響力(ここあちゃんの行動など)が枠組みを左右する。
    そしてここあちゃんも同じく…。

    自分自身はそこまでの経験をしたことはありませんが、登場人物みんなの心の揺れ
    動きと行動から疑似体験したような気がします。

    一見すると、ごちうさの表面的なキャラやストーリーとはギャップがあるように
    思えながらも、実は原作でも家庭環境や学校生活での物悲しい側面に触れられて
    いたりすることから、今の交友関係やその発展の大切さがよくわかるし、そういう
    土台があるからこそ、こうした二次創作も受け入れられると感じました。

    最近、ごちうさ原作の、キャラ同士の関係が深まる様がとても面白くて仕方ないです。

    リゼちゃんの境遇から、このSSの状態に至る過程も見てみたいです。
    冒頭の地の文とすり合わせると(この文にいきなりドキっとしました…)
    お金持ちの家に生まれ、有り余るほどの溺愛を受けてきただろうに、満たされない
    部分があるとしたら、幼いころから年の近い人が周りにいなく、幼い気持ちそのままに
    心通わす経験ができなかった?大人はどうしても、幼い子の目線になりきれないですし。

    「ヤンデレ」の一言では片づけられない、人の心理を深く深く考察した作品でした。
    他のキャラ、更にはオリジナルでこうした作品を読んで見たいと強く思います。
    リゼちゃんの画像の加工技術にも驚きました!

    みなさま、本当にお疲れ様でした。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      お楽しみいただけたようで、とりあえずは一安心です。
      そしてとても深いご感想、心から感謝でございます。
      100ページに至る物語を最後まで読んで下さったはにすけさん及び、1000以上の読者さんにこの場を借りて深くご御礼申し上げます。

      さて、本作のテーマは言わずもがな狂気です。
      愛憎に対するわたしなりの解釈は、はにすけさんがおっしゃることで間違いございません。
      行き過ぎた愛情がもたらす幸福や不幸……それを赤裸々に描いたのが本作の内容となっています。
      わたしが描きたい『人間の矛盾行動』というのが正にこれで、それをごちうさで表現するとなるとかなり四苦八苦しました。(おかげで3週間近く缶詰です)

      実はこれ、わたしのオリジナル作品のとある小説が元ネタなのです。
      ごちうさで愛憎というテーマを描くとなり、当初はかなり緩めな描写を心がけていたのですが、それでは物語のカタルシスが読者さんに伝わらないと思い直し、全てを没にして再び描き直したのがこの『ヤンデレリゼとここあ』5作品となります。

      寂しがり屋で優しいリゼちゃんが、ずっと満たされなかった心を満たしてくれたここあちゃんを愛し、そして傷つけて。
      その行動を矛盾していると思うか、理にかなっていると解釈するかは個人の意にお任せしようと思っています。
      ただ本作で表したかったのは、そんな愛情も存在しえるということだけで。

      幸せを手に入れるために苦しむ。
      幸せを手に入れると、今度はその幸せを逃さないように苦しむ。
      幸せを逃がすと、今度は絶望する。

      心情というのは本当に不思議なもので、考察を重ねだすと枚挙に暇がありません。
      わたしが今作で描写したのも、たかがその中の一つという訳ですね。

      文章にまとまりがなく大変申し訳ありません。
      ここだけの話、今までこれほどわたしの描きたいテーマを如実に理解してくださる方というのに出会ったことが無く。
      この返信を描いている今も、不思議な感覚に見舞われています。
      もしあなたがわたしのオリジナル作品を読んで下されば、初めて『狂っている』以外のお言葉を頂けるのかもしれませんね。
      これはあくまでも、リゼちゃんとロリココアちゃんの物語ですので。

      いつもならば、書き上げたSSに対しては自分なりに不満が残ったり描写に拙さにため息をつくことが多いのですが。
      本作は地の文を入れさせて頂けたせいか、はたまた自分の描きたかったテーマを書かせて頂いたせいか。
      本作に関しましては自信を持って上手く書くことが出来た作品だと自己満足できております。
      これも拙い地の文を受け入れて下さり、結果を下さった読者さんのおかげですね。
      はにすけさんも、当時ご心配のメールを下さりありがとうございました。

      最後に創作秘話としまして、執筆の合間にプレイしていたある狂ったゲームの内容に影響されてる節もございます;
      白い部屋に隔離されてしまうシーンなどがまさにそれです。
      ともあれ、リゼちゃんとここあちゃんには再び幸せになってほしいと執筆者ながら切に願っております。
      はにすけさんも、そうであってくださると嬉しいですな。
      Thankyou♪ BY砂水クジラ

  6. はにすけ より:

    コメント投稿が反映されたものを見ると、めちゃくちゃ長いですね…
    にも関わらずいつもご丁寧な返信、ありがとうございます。裏話が知られて嬉しいです。

    何となく感じてましたが、砂水さんがオリジナルで描きたかった内容だったのですね。
    自信を持ってこの力作を送り出せて、本当に良かったです。読み手にもしっかり
    それが伝わっておりますよ!

    人の感情って、素直に一つの要素で構成されることは少なく、複雑な状態で存在して
    いて、しかも多かれ少なかれ矛盾を抱えていることの方が、むしろ自然なんじゃ
    ないかと、ふと思うことがあります。そのような点にフォーカスを当て、一見すると
    親和性がないように思える『ごちうさ』を舞台にストーリー化されたことに感服
    しました。しかも無理やりくっつけたのではなく、しっかりとごちうさキャラの
    性格や関係性、世界観を土台に据えて。改めて、素晴らしい作品でした。

    いつか、オリジナル作品も読めると嬉しいですが、こうしてごちうさを通して
    深いテーマに触れられるのもとても面白いです。既にごちうさSSでの砂水さんの
    オリジナリティは確立されている印象です。

    > リゼちゃんとここあちゃんには再び幸せになってほしい
    バッドエンドも好きですが、それよりも幸せになる方が大好きです。

    ちなみに、影響を受けたゲームがあるとのことですが、実は私は文章か漫画で
    読むぶんには大丈夫なのですが、映像化されると一気に怖がるヘタレです(´・ω・)

    これからも、シリアス・ほのぼの共に楽しみにしております!
    応援してますよ!!

  7. Beyond the Average より:

    感想がびっしり並んいるなかで短い文章で、すみません。

    私は、リゼがここあと離れてリゼが自身を振り返るシーンで考えるものがありました。
    愛、とは何なのか?
    どこまでが正気(と判定される)のか?
    リゼは愛情がずれてここあを傷つける。そしてここあはリゼの全てを受け入れ、それは正しいんだと判断する。つまり二人は「愛」で繋がっている。不思議な話です。第三者から見れば「狂気」のはずなのに。特に千夜とシャロにはそう見えたでしょう。二人を引き裂こうとして当然です。でも普通、愛を引き裂くことは悪だと思うとどちらが狂気かわからなくなります。

    あと、私はなぜここあが離れることを選んだのかが気になりました。
    リゼが頑張ったから、リゼに幸せになってほしかったから、そんな理由ではないと思います。それならBadルートのようにずっと二人でいれば良かったから。
    ここあはチノや千夜やシャロのことを思って、自身のリゼへの愛を犠牲にして、リゼから離れたのでしょうか?(それができるのは、天使…?)

    リゼがラビットハウスに戻ることができて、チノが「おかえりなさい、リゼさん」と言うその時が来ることを祈って、私の感想の締めと致します。
    (……って、まだ狂気日記に続くんだった…。)

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      ヤンデレリゼとここあを最後まで拝読いただきありがとうございます。
      まずは前半の愛情に対するあなたの考察ですが、非常に的を射ていると感じました。
      ここあちゃんとリゼちゃん、『二人だけの世界』では二人は確固たる愛情で結ばれています。例え周りから狂気に思われようとも、それは紛れもない事実です。
      しかし、それは二人を大切に思ってくれる周囲の人間を傷つけるものなのでしょう。
      その愛情を、周りの人間を捨ててでもなお貫くか、それともお互いが離れて再び愛情のずれを矯正するのか……というのが、本作のテーマの一つでした。
      (それぞれの結末がトゥルーエンドとバッドエンドに分岐しております)

      後半の、『私はなぜここあが離れることを選んだのかが気になりました。』についてですが。
      『ここあは、わたしが全てを投げうつ覚悟がないことを、察してくれたのだ。だから、側から離れた。わたしのために。』
      と、その後の長く続く文章で明確になっておりますよ。
      ここあちゃんは天使故に、リゼちゃんの心のメッキ、虚勢、全てを見抜いていたのです。
      リゼちゃんにとって本当の幸せとは何なのか……そう考えて読み直してみると、より一層あなたの疑問の答えが見つかるかと思います。

      リゼちゃんがあの部屋から出られる日を、わたしもいつか執筆することができると嬉しいですね。

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