ごちうさSS リゼ「千夜に聞こえるようにわざと友達じゃないって言ってみる」

 

 

リゼ「……………………」

 

リゼ(最近千夜が可愛い……どうしようもなく可愛い)

 

リゼ(千夜の新たな可愛さをもっと世に知らしめるべきだと思う)

 

リゼ(そこで、可愛いの鉄板といえばそう、『笑顔』と『涙目』だ)

 

リゼ(笑った千夜は可愛いが、涙目になっている千夜はもっともっと可愛いはず!)

 

リゼ「ということで、明日からいざ決行だ」

 

 

 

――ラビットハウス――

 

ココア「千夜ちゃんまだかな?」

 

チノ「もうすぐだと思います、シャロさんはアルバイトで夕方になるそうですが」

 

ココア「千夜ちゃんが来たら夕飯までみんなで遊ぼうね!」

 

チノ「仕事してください」

 

ココア「リゼちゃんの手料理楽しみだなぁ」

 

リゼ「期待しててくれ、今回のは自信作だ」

 

リゼ(今夜はみんなに手料理をごちそうすると提案してみた……あとは――)

 

リゼ「あっ……すまない、ココア、チノ、ちょっといいか?」

 

ココア「ん?」

 

チノ「どうかしましたか?」

 

リゼ「ネギと豆腐を買い忘れたみたいだ。お金渡すから買ってきてくれないか?わたしは今から下ごしらえがあるから」

 

ココア「おつかいだね!いいよ」

 

チノ「でしたらココアさん一人でお願いします、わたしはお店番がありますので」

 

リゼ「いや、できればチノも付いて行ってほしい。お店番にせよおつかいにせよココア一人だと不安だからな」

 

チノ「確かにそうですね……」

 

ココア「どういう意味!?」

 

リゼ「わたしがいるから心配ないぞ、二人でのんびり行ってきてくれ」

 

チノ「分かりました、すぐに戻りますので。ココアさん行きますよ」

 

ココア「あっ、チノちゃん待って~!」タタタ

 

ガチャッ バタン

 

リゼ(……よし、完璧だ)

 

リゼ(あとは千夜が来るのを窓から確認して……)

 

 

……5分後。

 

 

リゼ(……――来た!)

 

リゼ(ドアにもたれ掛かってと……)

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

千夜(今日はみんなで夕食……楽しみね)

 

千夜(料理もできてお裁縫もできて勉強も運動もできて……リゼちゃんってほんとすごいわ)

 

千夜(わたしも見習わないと)ガチャッ

 

千夜「……?開かない……」

 

リゼ『友達?はは、冗談言うなよ』

 

千夜(リゼちゃんの声……お取込み中かしら?)

 

リゼ『そりゃココアやチノの前では言わないけど』

 

千夜(ココアちゃんとチノちゃんじゃない……ということは電話?)

 

千夜(シャロちゃんとかしら?)スッ

 

リゼ『千夜は友達なんかじゃないぞ』

 

千夜「――え」

 

リゼ『ああ、そろそろ来ると思うから切る』

 

千夜「リゼちゃん……?」

 

リゼ『ふぅ……』

 

千夜「………………」

 

千夜(さっきの、間違いなくリゼちゃんの声……)

 

千夜(千夜は……友達じゃない……)

 

千夜(……嘘)

 

千夜(わたし……リゼちゃんに――)

 

リゼ「――千夜?」ガチャッ

 

千夜「ひゃっ!?」

 

リゼ「どうしたんだ、こんなところで突っ立って?」

 

千夜「ええと……」アセアセ

 

リゼ「……まさか、さっきからずっとここにいたとかじゃないよな?」

 

千夜「っ!ううん、いま来たところ」

 

リゼ「そうか、良かった」ニコッ

 

千夜「……」ビクビク

 

リゼ「寒いだろう、入れよ。ホットミルクでも飲むか?」

 

千夜「うん……」

 

千夜「………………」シュン

 

リゼ(どうやら成功したようだ、かなりショックを受けてるな)

 

千夜「…………」トボトボ

 

リゼ(しょんぼりしている千夜可愛い……)

 

 

 

千夜「…………」

 

リゼ「千夜」

 

千夜「…………」

 

リゼ「千夜、おい千夜」

 

千夜「!な、なにかしら?」

 

リゼ「ホットミルク、早く飲まないと冷えちゃうぞ」

 

千夜「あ……ごめんなさい……」

 

千夜「…………」ズズッ

 

リゼ「……千夜、なにかあったのか?」

 

千夜「!ううん、なにも」

 

リゼ「そうか?なにかあったらすぐに言えよ。わたしなんかじゃ頼りないかもしれないけどさ、出来る限り力になるから」

 

千夜「……うん」

 

リゼ「千夜は大事な友達だからな」

 

千夜「……」ウルッ

 

リゼ「千夜?」

 

千夜「なんでもないの……ちょっとあくびが出て」グスッ

 

リゼ「温かいものとか飲むとつい眠くなるよな」

 

千夜「そうね………ぐすっ…ぇぐ……」ウルウル

 

リゼ(必死に涙を堪える千夜可愛い……可愛すぎるぞ!)

 

 

 

――夕方 キッチン――

 

リゼ「♪~♪♪」ジュー

 

千夜「リゼちゃん?」

 

リゼ「んっ、千夜か。どうしたんだ?」

 

千夜「わたしもなにかお手伝いしたいと思って……」

 

リゼ(さっきのことを気にして……千夜らしいな)

 

リゼ(……聞こえるように舌打ちしてみよう)

 

リゼ「……」チッ

 

千夜「あ……ご、ごめんなさいリゼちゃん、迷惑なら部屋に戻って――」

 

リゼ「いや助かるよ、なら冷蔵庫の絹ごし豆腐を半分に切ってくれないか?崩れやすいから気を付けてな」

 

千夜「え……でもいま……」

 

リゼ「ん、手伝ってくれないのか?」

 

千夜「!ううん、分かった……」

 

千夜「…………」ビクビク

 

リゼ(あの千夜がビクビクしてる……かわいそうだけど可愛い)

 

千夜「…………」

 

リゼ(さすがに慣れてるな……ふむ)

 

リゼ「…………」

 

――ドカン!

 

千夜「ひゃっ!?あ……」ベシャッ

 

リゼ「すまない、大根を切ってたら固い部分が一気に切れて……――!豆腐が……」

 

千夜「ごめんなさい!すぐに近くのスーパーで買って――」

 

リゼ「いや、いいよ。わざわざ買いに行かなくても」

 

千夜「あ……」

 

リゼ「しょうがない、冷奴はやめて味噌汁にするか」

 

千夜「……ごめんなさいリゼちゃん、わたしのせいで」

 

リゼ「気にしなくていい、わたしも悪かったんだ。もう大丈夫だから部屋に戻っていいぞ」

 

千夜「でも……」

 

リゼ「はぁ…………」

 

千夜「……!」

 

千夜「…………」シュン

 

リゼ(天使をいじめたりして……わたしは最低だ)←賢者モード

 

リゼ(……あと一日だけ。すまない千夜)

 

 

 

―――――――――――――

 

 

――甘兎庵 浴室――

 

千夜「…………」チャポン

 

千夜(わたし、リゼちゃんに嫌われるようなこと、何かしちゃったのかな……)

 

千夜(冗談ばかり言ってたから……?いつも乗ってくれるからすっかり安心してた……)

 

千夜「……」シュン

 

千夜(リゼちゃんにとってわたしは、友達じゃなくてただの知り合い……?)

 

千夜「………………」

 

千夜(一緒にパンを作ったり、アルバイトしたり、マラソンしたり……仲良しになれてるって思ってたのに……)

 

千夜「……」ウルッ

 

千夜「全部……わたしの、ひとりよがりで……」グスッ

 

 

リゼ『千夜は友達なんかじゃないぞ』

 

 

千夜「リゼちゃん……」ポロポロ

 

 

―――――――――――――――――

 

千夜「アンコ……?」スッ

 

千夜「明日からわたし、リゼちゃんにどう接したらいいと思う?」

 

千夜「友達でもない人が馴れ馴れしくしたら、迷惑よね……」

 

アンコ「……」

 

千夜「これ以上、リゼちゃんに嫌われたくないし……」

 

アンコ「……」

 

千夜「…………」ウツムキ

 

千夜「ごめんなさいって謝れば、好きになってくれるかしら……」

 

シャロ「千夜?」トントン

 

千夜「!……シャロちゃん?」

 

シャロ「入ってもいい?」

 

千夜「うん」

 

ガラッ

 

シャロ「おばあちゃんから聞いたわ、今日はいつもより元気が無さそうだって」

 

千夜「そんなことないわ、気のせいよ」

 

シャロ「ふぅん?」ジー

 

千夜「…………」

 

千夜(もしあの電話の相手がシャロちゃんだとしたら、シャロちゃんは知ってるのよね……わたしがリゼちゃんに嫌われてるって)

 

シャロ「なにか悩んでるなら相談くらい乗るわよ?」

 

千夜「ありがとう。……ねぇ、シャロちゃん?」

 

千夜「……リゼちゃんって、わたしのこと嫌いなのかしら……」

 

シャロ「はぁ?リゼ先輩が?そんなはずないでしょ」

 

千夜「ほんとう……?」

 

シャロ「当たり前じゃない、千夜だってリゼ先輩のこと好きでしょう?」

 

千夜(この反応だとシャロちゃんじゃない……だとしたら誰?)

 

シャロ「どうしたのよ急に、まさか先輩と喧嘩でもしたの?」

 

千夜「……ううん」

 

シャロ「……ねぇ千夜?言いにくいなら無理には聞かないけど、もしリゼ先輩と何かあったなら先に謝ってみたら?絶対オウム返しが返って来るはずだから」

 

シャロ「もし言いにくいんだったらわたしも手伝うから。千夜にもリゼ先輩にも悩んでほしくないし……」

 

千夜「シャロちゃん……」

 

千夜「……そうよね、早く解決しないといけないわ」

 

千夜(リゼちゃん本人から直接聞けば、すべて解決することばかりだものね)

 

千夜「ありがとうシャロちゃん、わたし頑張ってみる」

 

シャロ「んっ、一緒に行かなくて大丈夫?」

 

千夜「ええ、大丈夫よ」

 

シャロ「……そう」プイッ

 

千夜「くすっ、ありがとうシャロちゃん。またシャロちゃんに助けてもらって……わたしって本当に臆病ね」

 

シャロ「それはお互い様、わたしも千夜に助けてもらったこと何度もあるし」

 

千夜「シャロちゃん……ふふっ、ぎゅーっ♪」

 

シャロ「抱き付くなぁ!//

 

千夜(明日は土曜日……朝早く行けば、リゼちゃんと二人きりになれるかしら)

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

――翌日 早朝 ラビットハウス――

 

リゼ(昨日は最高だったな……やっぱりしょんぼりしている千夜は可愛い)

 

リゼ(でもあんまりやり過ぎると嫌われるよな……今日は少し自重するか、ドッキリなのも打ち明けないと……)

 

――トントン

 

リゼ(んっ、お客さんか?まだ看板も出してないのに)

 

千夜「おじゃまします……」ガチャッ

 

リゼ「!千夜……」

 

千夜「リゼちゃんだけ?チノちゃんとココアちゃんは?」

 

リゼ「チノは朝食を食べてるよ、ココアはいつも通りの寝坊だ」

 

千夜「そう……」

 

リゼ「あの二人になにか用か?」

 

千夜「ううん……今日は、リゼちゃんに用があって来たの」

 

リゼ「わたしに?」

 

千夜「…………」コクリ

 

リゼ「何か相談ごとか?」

 

千夜「………………」

 

リゼ「言いにくいのか?」

 

千夜「…………」コクリ

 

リゼ(たぶん昨日のことだろうな……仕方ない、さすがに可哀そうだしそろそろドッキリだとばらしてあげるか)

 

リゼ「千夜、あのな、昨日の電話は――」

 

千夜「」ジワッ

 

リゼ「!?」

 

千夜「っく……ぇぅ……」ポロポロ

 

リゼ「ち、千夜っ!?すまない、昨日の件はだな――」

 

千夜「リゼちゃん!」ギュッ

 

リゼ「!」

 

千夜「ごめんなさい……ごめんね……もう冗談言ったりしないから」

 

千夜「だから、わたしの友達でいて……友達でいてくれなきゃいや……」ガシッ

 

リゼ「……!」

 

千夜「こんなにリゼちゃんのこと大切に想ってるのに……好きなのに……ぐすっ、リゼちゃんにとってわたしは友達じゃないなんて……そんなのいやぁ……」ポロポロ

 

リゼ「千夜……」

 

千夜「リゼちゃん……うぅっぇえ……」ポロポロ

 

リゼ「……千夜」

 

千夜「…………?」

 

リゼ「千夜は、わたしの友達なんかじゃない」

 

千夜「……!」

 

千夜「いやっ……嫌いにならないでリゼちゃん……!」ポロポロ

 

リゼ「千夜は……千夜は――」

 

リゼ「千夜はわたしの女神だぁああ!!」ギュッ

 

千夜「!?」

 

リゼ「すまない!もう二度とこんなことしない!だから許してくれっ!」スリスリ

 

千夜「リゼちゃん……?」

 

リゼ「全部ドッキリなんだ!ごめんな千夜!ごめんなぁ!!」

 

千夜「ドッキリ……」

 

リゼ「わたしは最低だ!こんなに優しい千夜をいじめるなんて!千夜ぁ……」ギュッ

 

千夜「そうだったの……あの電話も、嘘だったのね」

 

リゼ「ああ、わたしと千夜はずっとずっと友達だぞ、いや親友だ、千夜さえよければこれからもずっと一緒にいよう」

 

千夜「……」グスッ

 

リゼ「千夜!もう泣かないでくれ!ごめんな!」ナデナデ

 

千夜「ううん、違うの。安心したら涙が出てきて……良かった、ほんとうに良かった……」ポロポロ

 

リゼ「すまない……わたしのこと、許してくれるか?」

 

千夜「うん……だってわたしたち、ずっと親友なんでしょ?ねっ、リゼちゃん?」ニコッ

 

リゼ「……!千夜……千夜ぁあああ!!」スリスリ

 

千夜「リゼちゃん……ふふっ♪」

 

――モノカゲ

 

チノ(千夜さんとリゼさん……まさか、そういう関係ですか……!?//

 

ココア「ふぁあ……ふぉえ?チノちゃん、こんなところで何してるの?」

 

チノ「ココアさんっ!しーっ……」

 

ココア「?」

 

 

リゼ「千夜っ!可愛いなぁもう!」

 

千夜「リゼちゃん、少し痛いわ……!」

 

結論:千夜は天使、女神。

 

――おしまい♪

感想

  1. 匿名 より:

    ビンタの時もそうだけどどこかやり慣れてる感があるリゼちゃんいいですねw

    原作だとあんまり千夜が弱るシーンがないから新鮮で楽しかったです!

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      シリーズ化候補のリゼちゃんが暴走する本作、お楽しみいただけたようでなによりです。

      原作ですと千夜ちゃんが落ち込んでしまう描写が3回ほどありましたが、確かにここまで思い悩む千夜ちゃんはあまり無いかもしれませんね。
      千夜ちゃんってほんとはすごくメンタルが弱そう……そこも千夜ちゃんの魅力ですよね!

  2. 名有り より:

    新ss来たー!!!
    ついにリゼちゃんが危ない道に足を踏み込んでしまってしまいましたね!涙目の千夜ちゃんはとても新鮮な気がします。本編で泣くことがあまりないからかも知れません。
    賢者モードになりながらもあと1日は続けようとするあたり、完全にイケナイ子と化しているのがよくわかります。
    しかしSなリゼちゃんもいいけど、個人的にはチノちゃんに罵倒されていたいですね〜♪

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      原作ですと、一度だけ千夜ちゃんが目に涙を滲ませる描写がありましたね。
      リゼちゃんがイケない出来心でとにかく暴走する本作……果たしてシリーズ化されるのでしょうか。

  3. 出遅系難民 より:

    お久しぶりです(^^)最近忙しかったのです(;_;)期末テスト許すまじ。
    ゲリラ的にこういう思考を抱くリゼちゃん、好きです(そもそも二次創作って大体ぶっ飛んだ始まり方ですね笑)。
    結論:千夜ちゃんは誰と組んでも女神(推しカプは千夜ココ)

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      わたしは自分なりにですが、極力無理のある始まり方や結末は控えるように意識しております。
      本作はシリーズ化候補のリゼちゃん暴走シリーズというカテゴリーですので、意図的にこのような始点から始まる内容となっています。

  4. 匿名 より:

    千夜可愛すぎかよ!

  5. 匿名 より:

    お疲れ様です。
    気になったのですが、いつもSSの元ネタはどうやって集めて(?)いるのですか?
    文章が拙くてすみません。

    • 砂水クジラ砂水クジラ より:

      元ネタでしょうか?
      ……どうなんでしょう;

      ふと突発的に閃いたアイデアをそのまま採用することもありますし、なにかの小説や漫画を読んでいて閃くこともございます。
      自分から意識してアイデアを出そうと思ったことはあまり……シリーズSSですと、テーマに沿ってアイデアをひねり出す時もありますが。
      わたしの場合、全てはその時の状況からのヒントによる閃きなのかもしれません。上手く答えられなくてごめんなさい。

  6. 名無し より:

    もう〇〇〇ビンビンですよ

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